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『MarkeZine』(雑誌)

第113号(2025年5月号)
特集「“テレビ”はどうなる?」

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【特集】“テレビ”はどうなる?

テレビは「主」から「従」へ 横山隆治氏が考える、脱“テレビ1強”時代の広告コミュニケーション

 長い間、メディアプランニングは「テレビCM」主体で考えられ、SNSや動画広告などはすべてテレビCMを補う「従」の存在だった。しかし、“テレビCMを誰もが一度は見ている”時代は終わった――。テレビ1強時代が終わった今、広告主や代理店はメディアプランニングをどう考えていくべきなのか? またテレビ局は生き残りをかけて戦略をどう変えていくべきなのか? 脱“テレビ1強”時代の広告コミュニケーション、これからのメディアプランニングの軸となる「新トリプルメディア」について横山隆治氏と楳田良輝氏が解説する。

※本記事は、2025年5月刊行の『MarkeZine』(雑誌)113号に掲載したものです

【特集】“テレビ”はどうなる?

─ テレビは「主」から「従」へ 横山隆治氏が考える、脱“テレビ1強”時代の広告コミュニケーション(本記事)

視聴データから見るフジテレビの現状

 「テレビのこれから」を考える上で、昨年末からのフジテレビに関する一連の騒動は避けて通れないでしょう。「CM差し替え300社以上」「2月売上9割減」など、センセーショナルな見出しの報道が当時は目立ちましたが、実際のデータではどうなっていたのでしょうか? 図表1は、年初から直近4月までのフジテレビのCM出稿企業状況を整理したものです。

図表1
図表1

 CM本数(15秒換算/たとえば30秒CMなら2本計算)で比較すると、2025年1月6日週では一般企業が92.8%を占めていましたが、大手広告主の「CM差し止め」発表後の1月20日週から状況が一変します。話題となった「10時間会見」の1月27日週には一般企業のCM出稿は6.9%にまで減少してしまいます。視聴者が「AC」などのCMを最も多く目にした時期です。

 2月に入ると「CM料金の返金」が始まったことで、ACや業界団体のCMは減少し、フジテレビの番組宣伝(番宣)や関連事業・関連会社などのCMが増えるようになります。番宣の番組別集計では「ドラマ」が上位を占めていました。多いものでは、週に1億3,000万回程度(約330〜340GRP)の広告量(インプレッション数)となっていますので、一般企業であれば5,000万円程度の費用がかかっていることになります。これだけ番宣を打つと、実際に視聴率が持ち直したドラマもあるようでした。もちろん、番宣だけが要因とは言えません。

 そして、3月からはACなどは大きく減り、あくまでもCM本数ベースですが一般企業分がやや回復してきます。しかし、大手広告主はCMを再開しておらず、フジテレビの状況が改善に向かっているとは言えません。全体のCM本数も年初から1割ほど少なくなったままになっています。

「これからのテレビ」のために、テレビ局がすべきこと

 十数年以上前に「GRPはインプレッション数に換算すべき」と最初に提唱した立場として、今、改めて伝えておきたいことがあります。それは、テレビCMがメディア戦略の主役であった時代は終わりを迎え、今後は補完的な存在となることを受け入れなければいけない、ということです。

 ただ、現在の地上波テレビCMにおいて理解しておくべきなのは、その広告単価が非常に安いということです。CPM(千回あたりの広告単価)で見ると350〜400円(関東エリア)です。

 ストリーミング視聴の急増による「視聴の断片化」により、ターゲティングを前提とするCTV広告がメインとなり、テレビCMは補完としての役割で活用されることがより推し進むことでしょう。しかし、従来のテレビCMと同等規模の露出量をCTV広告だけで確保しようとすると、広告単価の高さが広告主にとっては大きな負担となるため(CPM2,500〜7,000円程度/全国一律)、より効率的な地上波テレビCMの新たな活用スキームも同時に確立する必要があります。

 「コンバージドTV」、つまりストリーミングやリニアTVなどすべての動画視聴を統合的に捉えるメディア戦略では、テレビCMは従来の大量に安くから「適量を効率的に」へと移行し、CTV広告に対するインクリメンタルリーチを確保しながら、タイミング良く効果的に重複リーチを生み出すことが求められます。

 そうなると、当然ながらテレビCMもGRPからインプレッションで取引する必要があるでしょう。しかし、単に取引指標を変えただけではなんの意味もありません。今までと同じです。テレビ局自ら、従来のGRP取引とは「異なる」バイイング方法(新しいセールス手法)を広告主に明示していく必要があります。

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テレビ1強時代が終わった今、広告主が考えなければならないこと

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この記事の著者

横山 隆治(ヨコヤマ リュウジ)

横山隆治事務所 代表取締役
ベストインクラスプロデューサーズ 取締役 ファウンダー
トレンダーズ 社外取締役

1982年青山学院大学文学部英米文学科卒業。同年、旭通信社(現・アサツー ディ・ケイ/略称:ADK)に入社。インターネット広告がまだ体系化されていなかった1996年に、日本国内でメディアレップ事業を行う専門...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

楳田 良輝(ウメダ ヨシテル)

株式会社プログラマティカ 代表取締役社長

関西学院大学卒。広告会社で営業部門を経験後、経営及び人事部門でデジタル領域への投資・事業戦略や組織・制度変革等を担務する。メディア部門を担当後、デジタルエージェンシーを経てコンサルティング会社に経営参加。大手広告主に対するマーケティング・コンサルティング業務等に従事する...

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MarkeZine(マーケジン)
2025/05/26 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48805

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