※本記事は、2025年5月刊行の『MarkeZine』(雑誌)113号に掲載したものです
【特集】“テレビ”はどうなる?
─ テレビは「主」から「従」へ 横山隆治氏が考える、脱“テレビ1強”時代の広告コミュニケーション
─ オンオフ統合バイイングでテレビCMに閉じない展開を 「日テレNEWS NNN」が目指す世界
─ 先駆者ABEMAに聞くCTV市場 テレビの現在地と未来は、マルチスクリーン化でどう変わるのか
─ ショート動画×テレビCMのプランニングは生活者を主語にする。博報堂横山氏に学ぶ考え方
─ 【広告意思決定論】ブランド成長におけるテレビCMの役割
─ なぜ若者ほど「アテンションの高い動画広告」を好むのか タイパ意識を軸に考察(本記事)
若者世代は広告をしっかり見ていない
広告の役割の一つとして、消費者に商品やサービスを認知してもらうことが挙げられます。「認知」はコミュニケーション活動における入り口であり、多くの広告主の方が重視している点の一つです。
しかし、最近の生活者の行動を分析すると、そもそも「広告を見る」という態度に変化が起きているようです。
図表1は、テレビCM・ネット動画広告を「しっかり見る」と回答した人(男女15~69歳と、男女15~19歳の若者世代を抜粋)の時系列推移です。

テレビCM・ネット動画広告ともに、男女15~19歳において「広告の内容をしっかり見る」と回答した人の割合が下降傾向であることがわかります。様々なメディアの台頭とそれにともなう接触広告量の増加により、SNSや動画コンテンツメディアの利用が多い若年層は特に、一つひとつの広告に払う意識が低くなっていることは想像に難くありません。
しかし、広告に対する意識や行動について、若年層が何らか固有の特性を持っているとしたら、どうでしょうか? その特性を生かしたコミュニケーションを行うことで、広告をしっかり届けることが可能になるはずです。ここからは、CMや広告に対する若者世代固有の意識をデータで読み解き、彼らに対する効果的な広告の届け方について考察します。
コーホート分析で調査データを読み解く
本記事では、若者世代の特徴を探るべく、時系列変化の要因を探るコーホート分析を用いました。「コーホート」とは、人口学で「同じ年代や時期に生まれた人・世代」を表す言葉。このコーホートに注目し、継続的な調査データで見られるスコア変化の背景にある要因を明らかにする手法がコーホート分析です。
コーホート分析では、「時代効果」「年齢効果」「世代効果」の3つの効果を仮定して変化の要因を読み解きます(図表2)。

今回、広告表現の嗜好に注目して分析した結果、世代効果の特徴が見られた2項目について詳しくご紹介します。
- 目や耳にとまるフレーズ(コピー)があると印象に残っていることが多い
- 説明的なCMや広告よりも「何これ?」と思えるCMや広告のほうが好き