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『MarkeZine』(雑誌)

第112号(2025年4月号)
特集『いま選ばれる「ブランド」の作り方』

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【特集】いま選ばれる「ブランド」の作り方

大躍進のアシックス スポーツから“日常”へ「ブランドの新たな柱」をどのように作り上げたのか?

 アシックスの躍進が止まらない。同社が2月14日に開示した2024年12月期通期の連結決算では営業利益が1,000億円を突破し、過去最高益を更新。またインターブランドが発表したブランド価値ランキング「Best Japan Brands2025」では最高成長率を見せ、トップ50にランクインしている。この急成長をけん引するドライバーのひとつが、機能性とデザイン性を兼ね備えた「スニーカー」の大ヒットだ。本記事では、同社が成長ドライバーの一つとして現在注力している「アシックススポーツスタイル」のブランド戦略を紐解く。

※本記事は、2025年4月刊行の『MarkeZine』(雑誌)112号に掲載したものです

スポーツから「日常」へ “スポーツスタイル”の誕生

──アシックスが現在成長ドライバーの一つとして掲げられている「スポーツスタイル」とは、アシックスブランドにおいてどのような位置づけのカテゴリーなのでしょうか?

 アシックスでは現在、「パフォーマンスランニング」「スポーツスタイル」「コアパフォーマンススポーツ」などを主力カテゴリーとして展開しています。スポーツスタイルは、ランニングシューズなどのパフォーマンス領域によって培ってきたアシックスのスポーツテクノロジーを、ライフスタイルに広げていくことを目的に2019年に新たに立ち上げたもので、アクティブなライフスタイルにも対応できる機能性とデザイン性を兼ね備えていることが特徴です。

株式会社アシックス 執行役員 スポーツスタイル統括部 統括部長 鈴木 豪氏 1980年生まれ。国際基督教大学を卒業後、2003年に本田技研工業に入社し、海外営業や商品企画を経験。2013年にアシックスに入社後、グローバル・プロダクトマーチャンダイジング部長、2018年スポーツスタイル統括部長を経て、2022年から現職。
株式会社アシックス 執行役員 スポーツスタイル統括部 統括部長 鈴木 豪氏
1980年生まれ。国際基督教大学を卒業後、2003年に本田技研工業に入社し、海外営業や商品企画を経験。2013年にアシックスに入社後、グローバル・プロダクトマーチャンダイジング部長、2018年スポーツスタイル統括部長を経て、2022年から現職。

 カテゴリーの立ち上げには、大きく2つの背景があります。1つはランニングシューズを中心としたパフォーマンス領域は、ユーザーや用途が特化されているため、ブランドとして顧客接点を広げていく必要性を感じていたこと。もう1つは、2015年頃から「アスレジャー(アスレチック+レジャーを組み合わせた造語)」という言葉がじわじわと浸透してきており、スポーツを日常スタイルに取り入れる動きが出てきていたことです。

 スニーカー市場はグローバルで約10兆円ある巨大市場です。アシックスとしても当然、日常で履けるスニーカーを展開していましたが、なかなかプレゼンスを上げられていませんでした。というのも、当時はオニツカタイガーやパフォーマンスランニングのサブカテゴリーのような位置づけで展開しており、特化したブランドとして存在していたわけでないため、ターゲットが絞り切れておらず、巨大市場に対し漠然と展開している状態だったのです。アシックスとして改めてスニーカー市場でのブランド確立を目指し、2019年に「スポーツスタイル」としてカテゴリーを確立し、戦略を練り直していくことにしたのです。

ブランドの存在意義・強みを整理し、商品・流通網を厳選

──発足から成長ドライバーのひとつとなるまで、どのような成長戦略を取られてきたのでしょうか?

 まずはしっかりと「自分たちがどういう存在なのか」というのをミッション・ビジョン・バリューから見直し、強みを整理していきました。その上で、それを一番届けることができるお客様は誰なのか、ターゲットを明確にしていきました。

 その結果、自分たちのターゲットは「様々な価値観に対して先進的で、新しいものをどんどん取り入れていく人たち、また自分らしさを追求してアクティブに過ごしている人たち」であり、そういった価値観を後押しできる商品を展開していくべきであるということが見えてきました。

 カテゴリー確立前は、商品のラインナップも多く、また流通先も幅広く展開していたのですが、自分たちの強みが生きる商品、ブランドが正しく表現される流通先に厳選していくことで、ブランドの基盤を整えていきました。

──どのような基準で厳選していったのでしょうか?

 アシックスは創業以来、“健全な身体に健全な精神があれかし”を表す“Sound Mind, Sound Body”の実現を目指して事業活動を推進してきました。健全な心と身体を支える。これは、スポーツであろうと、日常であろうと変わりません。日常で履くスニーカーにおいても、ただ履ければ良いとは考えていません。履くことで快適に過ごせ、ひいては活き活きとした前向きな人生につながる。そんなスニーカーをお届けしたいと思っています。

 そこでアシックスの強みである、アシックススポーツ工学研究所で生み出されるテクノロジーや機能をしっかりとライフスタイルに落とし込み、スタイル性もあり、快適性もある商品だけを厳選していきました。逆に、それが訴求しづらい商品は省いていきました。

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この記事の著者

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

1993年生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。Web記事に加え、定期購読誌『MarkeZine』の企画・制作、イベント『MarkeZine Day』の企...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/23 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48741

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