顧客を自己解決に導くAI-FAQシステム「Helpfeel」
──商品やサービスに対する不満や疑問を直接問い合わせることなく離れていくサイレントカスタマーは、顧客の9割を占めるともいわれています。そんな中、検索型AI-FAQシステム「Helpfeel」は、独自技術によって顧客の自己解決を促進するソリューションとして注目されています。まずは、どのようなシステムなのか教えてください。
Helpfeelは、企業と顧客の情報格差解消と、顧客の自己解決率向上をミッションに掲げています。多くの企業では、顧客の問い合わせに対応するために大規模なカスタマーサポートセンターを運営しています。しかし、本来はWebサイト上で顧客自身が問題を解決できれば、顧客満足度も向上し、企業側のコスト削減にもつながります。

理想的な状態を実現するために、検索型AI-FAQシステムを開発しました。AIと特許取得済の独自技術を活用しながら、顧客が話し言葉などで入力した質問に対して的確に回答し、自己解決に導くことが特長です。
しかし、単に検索エンジンを提供するだけでは不十分でした。お客様からよく聞かれたのは「ナレッジベースをどのように構築すればいいのか」という質問です。顧客の疑問に的確に答えるためには質の高いFAQコンテンツが必要であり、それを適切に提供できる仕組みが重要です。しかし、多くの企業担当者が「具体的なやり方がわからない」と悩んでいました。
そこで当社では、検索エンジンだけでなく、ナレッジ作成から運用までのワークフローを含めた総合的なソリューションを提供しています。そして、この仕組みを「自己解決モデル」と呼んでおり、既存ユーザーの問題解決だけでなく、購入前の顧客の疑問解消にも貢献しています。
行動データは"貧弱"、心理データなら正確なインサイトを掴める
注目いただきたいのは、自己解決モデルを確立した企業は、対応品質の向上やカスタマーサポートのコスト削減が叶うだけでなく、顧客の離脱防止やサイト回遊率、顧客満足度、コンバージョン率(CVR)の向上といったマーケティング指標での成果も生んでいるという点です。
──単に疑問が解消されないことによる離脱を防ぐだけでなく、マーケティングに役立つデータが得られるということでしょうか。
はい。一般的なデジタルマーケティング施策では、Googleアナリティクスなどで取得できる「行動データ」を分析に活用してきました。しかし、ページの滞在時間や離脱率からは離脱の理由はわからないため、仮説を導くためにマーケターは想像力を働かせる必要がありました。そんな根拠が"貧弱"な行動データに対して、正確なインサイトを掴めるのが「心理データ」です。
心理データは、検索クエリを起点にしたVOC(Voice Of Customer:顧客の声)です。たとえば、ECサイトで「いつまでに」「日時」と検索されていると、配送条件を重視して商品を探しているという仮説を立てられます。さらに、「まだ来ない」といった直感的な言葉も捉えられるので、ユーザーのニーズをより正確に把握できます。
私たちはこのような問い合わせに至らない疑問を「カジュアルな疑問」と呼んでいます。気軽に質問できる環境を整えることで、本音を引き出しているのです。