平和堂ではVOC活用でクレジットカード会員が増加
顧客のカジュアルな疑問を可視化・解消することで、マーケティング指標を劇的に改善した事例を紹介します。
滋賀県を中心にスーパーマーケットを展開する平和堂では、クレジット機能付きのポイントカード「HOP-VISAカード」のリニューアルにあたり、効率的な会員獲得策が急務でした。これまでの手法では店頭にカウンターを設置し、スタッフによる新規入会の勧誘を行っていました。しかし、申込に至っても、カードの利用額が少なく継続率が低いため、LTVの観点から獲得コストが上昇する課題も抱えていました。

そこで、平和堂の全社戦略である若年層をターゲットに定め、オンライン申込に特化する手法に変更しました。クレジットカードの申込は、顧客にとって比較的ハードルの高い決断です。オンライン申込は24時間365日受付できるメリットはありますが、申込時に「年会費」や「ポイント還元率」、「ETCカード会費」など些細な問い合わせが多く、そういった疑問をスムーズに解消しなければ入会してもらえませんでした。
──どのようなことを改善したのですか。
HOP-VISAカードのLPにHelpfeelを導入し、実際にユーザーが抱えている疑問や課題をデータとして可視化することで、顧客接点の改良を繰り返しました。その一環として取り組んだのが、LPのクリエイティブ改善です。

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心理データから得られるインサイトに基づきLPを最適化し、FAQコンテンツを充実させた結果、カード申込数は前年比1.9倍に達し
、申込率(CVR)は導入前と比較して186.2%と大きく改善しました。CPA(顧客獲得コスト)も40%削減できました。特に新商品の場合には、細かなVOCを可視化し対策を講じることが重要で、ユーザーがHelpfeelで疑問を解消した上で納得してご入会いただくことにより、利用金額も前年比120%になりました。
自己解決モデルを体系化した「ナレッジジャーニー」とは
──顧客の自己解決を促すことで、マーケティング施策にも効果が見られたということですね。企業が自己解決モデルを構築するには、どうすればいいのでしょうか。
自己解決モデルをどの企業でも簡単に確立できるよう、ノウハウを体系化したものが「ナレッジジャーニー」です。顧客の自己解決を促進するフレームワークや企業が取り組むべきことをまとめており、顧客満足度の最大化を目指しています。カスタマージャーニーの概念に近いですが、ナレッジによって顧客の疑問を解消することに特化した方法論で、「疑問の解消」を購買や離脱防止に結び付けることを重視しています。

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企業のサポート現場に自己解決モデルを構築する際は、6つのステップで進めていきます。まず重要なのは、適切なシステムの導入と、組織体制の確立、そして適切なKPI設定です。

システムを入れるだけでなく、心理データに基づいて、FAQツールやチャットボットなどの自己解決システムを改善していく必要があるため、担当者を置き、専門組織を作らなければいけません。また、自己解決システムへの導線設計も重要なポイントです。
自己解決システムの設置場所には、Webサイトのトップページ、特設のLP、問い合わせページなどがあります。自社に合った適切な導線を設定することが必要です。その上で適切なKPIを設定し、PDCAサイクルを回していきます。