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今知っておきたいマーケティング基礎知識

【施行開始】マス広告とは?4メディアの特徴やデジタル広告との違いを知って効果を出す


 広く多くの人にアプローチできるマス広告。マスメディアを活用した広告であることは何となくわかるものの、どのメディアなのか、まそれぞれにどのような特徴があり、どれを選べば良いのかなど迷う人も多いでしょう。そこで、マス広告とは何か、4大マスメディアと言われる媒体のそれぞれの特徴やメリット・デメリット、急伸するデジタル広告との違いに加え、組み合わせることでどのようなマーケティング活動が期待できるかを解説します。

マス広告とは

 マス広告とは、広く大衆(マス)に向ける広告を指します。一般的には、テレビやラジオのCM、新聞や雑誌の広告が挙げられ、これらの媒体は4大マスメディアとされています。該当するメディアを見ている、読んでいる人という括りはあるものの、基本的に普及率の高いメディアである点が特徴。ながら視聴や、時間のある時にふと手に取って読まれることの多い媒体であることから、不特定多数の幅広い層の目に触れるため、認知度向上などに有効とされています。

マス広告とデジタル広告との違い

 マス広告と比較される宣伝・広告として、デジタル広告が挙げられます。デジタル広告とは、WebサイトやSNS、動画視聴サイトなどオンライン上のデジタルのメディアで展開される広告で「オンライン広告」「インターネット広告」「Web広告」とも呼ばれています。

 マス広告との大きな違いは、ユーザー自らがサイトなどを訪れている、アプリを利用していることに加え、登録時に入力されたユーザー情報やサイト検索履歴、閲覧履歴から的確なターゲティングが可能である点です。住んでいる地域や年齢層などはもちろんのこと、趣味や嗜好、子供の有無など、複数の条件を絞り込んだターゲットに広告を表示させることができます。

 さらには、広告が何回表示・クリックされたかなどのデータが収集でき、ユーザーの導線を解析することが可能であるなど、効果測定が比較的容易である点も、デジタル広告の特徴と言えます。

マス広告の種類

 歴史があり信頼性が高いマスメディア。その中でも訴求力の高いテレビやラジオ、雑誌、新聞の4大マスメディアについて、それぞれの特徴を紹介します。

テレビ広告

 マスメディアの中でも、最も多くの人にアプローチできるのが、テレビ広告です。インターネットの普及に伴い「テレビ離れ」が懸念されることもありますが、2023年3月時点で2人以上の世帯におけるテレビの普及率は95%(内閣府・消費動向調査)となっており、今なお大きな影響があります。

 CMには長期間放送する「タイム広告」と短期間集中型の「スポット広告」があり、前者の「タイム広告」は3ヶ月間1クールが基本。その番組のスポンサー提供としてクレジット枠に企業名が掲載されます。一方「スポット広告」は、番組や時間帯に関係なく短期間で集中的に放送されるので新商品や新サービス、期間限定の告知に適しています。

 広くアプローチができる分、制作費や広告費が高く、CMの制作期間も数カ月単位で必要となる場合があります。しかし、15秒や30秒といった限られた時間の中でストーリー性を盛り込むなど、印象的でクリエイティブなCMを作ることができれば、より多くの視聴者の意識を引き付けることが可能です。

ラジオ広告

 音だけで情報を伝えるラジオは、移動や作業をしながらの「ながら聴き」ができるメディアです。習慣性が高く、同じ番組を長く聴き続ける人が多いのが特徴。番組やパーソナリティとの距離を近くに感じやすいうえ、「ながら聴き」であることからCMに入ったからといって番組を変えることが少なく、CMを聴いてもらいやすいと言えるでしょう。

 加えて、ビジネスマンは朝の通勤時間帯、学生やドライバーは夜間など視聴者(リスナー)の属性が比較的はっきり分かれており、ターゲットを絞ったアプローチが可能です。

 また、テレビなどに比べて視聴者数は限られる反面、広告費を抑えることができ、CMの制作期間も音声のみのため短くすることができます。

雑誌広告

 不特定多数の人にアプローチすることが可能なマスメディアの中でも、比較的絞り込んだターゲティングが可能なのが雑誌広告です。雑誌はファッションやスポーツといった趣味嗜好のほか、子育てや学術的な分野など興味関心に合わせて細かなテーマ別で発行されているため、特定の層へのアプローチが可能です。

 近年は雑誌の発行部数が減少傾向ではありますが、一方で回し読みなどの回読性が高く、発行部数=読者数ではなく、実際にはもっと多くの人に読まれている点も特徴です。図書館や美容院、飲食店などに置かれている雑誌を手に取ったことがある人は多いでしょう。また、雑誌を長く保管する人も多く、再読による広告効果も期待できます。

 雑誌広告には大きく分けて2種類あり、広告主側が代理店や制作会社を通じて作った広告を掲載する「純広告」と、雑誌の特集などに合わせて出版社側が記事ページのようにして作る「記事広告」「タイアップ広告」があります。雑誌毎はもちろん、掲載されるページや場所によっても広告費は大きく変わり、「純広告」では裏表紙や表紙の次のページなどが高価になります。

 「記事広告」は広告らしさが薄まり、商品やサービスの詳細な特徴、開発ストーリーといった付加価値的な情報を加えることもできることから、ブランドや企業イメージの確立とともに商品やサービスの概要・詳細の訴求が両立できます。

新聞広告

 新聞広告の大きな特徴は、新聞に対する社会的な信用度・信頼性の高さです。マス広告の中でも歴史が長く、出稿には厳しい審査があります。それだけに読者に信頼されやすいメディアと言えるでしょう。現在の購読者は、比較的高齢者や富裕層が占める割合が多く、その層へのアピール力は大きいものがあります。

 また、新聞は基本的に日刊のため、スピード感のある広告展開が可能。直近のイベント告知や新商品・サービスの宣伝などに高い効果が発揮されます。特に新聞は全国紙のほか、その地域に根付いた地方紙があり、地域性に関わる広告が強みです。

 なお新聞広告は、雑誌同様に掲載する場所や大きさによって広告費が大きく変わります。最も高価なのは全面広告と呼ばれる、新聞の1面すべてを使った広告です。モノクロか、カラーかでも広告費が変わります。

マス広告のメリット

 不特定多数への訴求ができるマス広告ですが、近年はインターネットやスマートフォンの普及に伴ってデジタル広告が急伸し、2021年には4大マスメディアの広告費を上回るほどに成長しています。

 しかし、マーケティング活動において大切なのは届けたい情報を、必要としている人に届けること。商品やサービスの特性・特徴と、目的に合わせたメディアを選ぶことが肝要です。そこで、マス広告の3つのメリットを紹介します。

メリット1:幅広い層への認知向上に適している

 4大マスメディアは、それぞれの番組や雑誌、新聞の視聴・購読者がメインターゲットとなりますが、街頭や外出先の店舗といった場所で誰でも気軽に触れることができるメディアです。なんとなく見かける、耳にするといったことが多いだけに、商品やサービス、企業の名称や概要を幅広い層に向けて知ってもらう認知度向上に適しています。よく聞く商品名を店先で見かけて購入する、見知らぬ企業の商品よりは聞いたことのある企業の商品を選ぶといった消費行動を後押しするなど、意識して情報を探していない層への訴求面では多大な効果があるでしょう。

 多くの人に認知を促すことができると、最初にターゲットとしていた層以外にも広く知られることになり、意外性のある層からの需要が発掘されるといったこともあります。たとえば、幼児向けの商品が高齢者にもヒットしたり、女性向け商品が男性にも注目されたり。世代や固定層を超えて訴求をしたい場合にも良いでしょう。

メリット2:ブランドイメージを構築しやすい

 CMや広告誌面はクリエイティブの要素が強く、ブランドのイメージに沿ったものを作り込むことができます。テレビであれば音楽や映像、ラジオであれば音声やキャッチコピー、雑誌や新聞であれば文章や画像などを利用することで、伝わりにくいイメージを表現することが可能です。人々の印象に残り、話題になるような広告が展開できれば、さらに多くの人に訴求できます。

 近年では、商品やサービスだけではなく企業のブランドイメージを構築させる広告も増えており、マスメディアならではの広告と言えるでしょう。

メリット3:シニア層へのアプローチが高い

 デジタル広告が比較的若年層に強いメディアであるのに対し、従来のマス広告はシニア層に強いと言われています。デジタル広告がオンライン上で展開する広告である以上、インターネットを利用しない層への訴求は難しく、高齢になるほどインターネットの利用率は下がります。総務省の情報通信白書(令和5年)によると、インターネットの利用率は13歳から59歳までの各年代で9割以上なのに対し、60歳以降から利用率が低下。80歳以上は3割弱にとどまっています。

 一方で高齢者世帯を含めテレビの普及率は9割以上。新聞の購買層も60代が最も多く、新聞の信頼性と組み合わせることで新聞広告の有用性が高まるでしょう。近年は新聞社も誌面作りをシニア層に配慮し、文字を大きくするなどの工夫をしています。

マス広告のデメリット

 マス広告はメリットがある反面、デメリットも存在します。どちらも知ることで、最適な広告展開が可能です。

デメリット1:コストがかさむ

 最初に挙げておきたいのが、広告費です。テレビの広告費はCMを放送する放映費とCMを作る制作費から成り、視聴率が高い時間帯や番組によって放映費は異なります。地方のローカル局と首都圏のキー局でも放映費には差があり、場合によっては1回あたり10万円台から100万円台までの開きがでてきます。制作に関しても、人気のタレントやクリエイターを採用すれば高額です。自由に回数が決められるスポットCMであっても、放映回数が1回では効果が見込めないことから数回放映することを考えれば、100万円以上の予算は見込んでおきたいところでしょう。

 新聞広告や雑誌広告は、広告を掲載する場所(面、ページ)や大きさによって広告費は異なります。たとえば新聞広告では、全国紙なら1スペース数十万円から、全面広告では数千万円にもなります(時期などによっても変動するため、あくまでも参考費用となります)。

 しかしテレビならローカル局、新聞なら広告サイズを小さくして、地方紙に掲載することで費用を抑えつつターゲティングも絞ることができるので、効率的に広告活動を行うことができるでしょう。

デメリット2:費用対効果や効果測定の数値化が難しい

 Webサイト来訪者のクリック数や、クリック率、遷移の状況といったデータが収集できるようになり、デジタル広告ではより詳細な効果測定が可能になりました。これは、デジタル広告の主たる目的が、商品やサービスの購入、申し込みなど具体的な購買行動であるためです。一方で認知率といった数字に表れにくいものを目的とするマス広告では、具体的な効果測定や費用対効果を測ることは難しいとされています。

マス広告の効果測定

 苦手とされるマス広告の効果測定ですが、テレビ広告とラジオ広告では、視聴率・聴取率に放映CM本数をかけたGRP(Gross Rating Point 延べ視聴率・聴取率)という指標を活用します。ただし、テレビではCMに入ると別の番組にチャンネルを切り替えたりする人が多いことから、必ずしも正確な数字ではありません。最近では、カメラセンサーを用いて画面の注視度を測るGAP(Gross Attention Point 延べ注視量)という指標も登場しており、こちらはかねてからの課題であった「テレビはつけているけど見ているかわからない」現状に対応した効果測定がある程度できるようになっています。

 雑誌広告や新聞広告では、調査会社などを用いることで実際に広告が見られているかどうかを把握することは可能です。新聞広告なら新聞広告の調査プラットフォーム「J-MONITOR」があります。

マス広告とデジタル広告のクロスメディア

 マス広告とデジタル広告を分けて紹介してきましたが、近年はこの2つの垣根は低くなってきています。たとえば、テレビCMを公式サイトで見ることができたり、雑誌や新聞がデジタル化されWebサイトやアプリで読むことができたり。ラジオもアプリを利用することで、聞き逃してしまった番組を好きな時間に聞くことが可能です。現在ではマス広告もコンテンツの1つとしてオンライン上で楽しむことができます。このことから、どれか1つの広告に絞り込むのではなく、マス広告とデジタル広告を組み合わせ、消費者の行動を促すようなマーケティング活動ができます。

マス広告×公式サイト・アプリ

 マス広告とデジタル広告の相互活用として定番なのが、「続きはWebで」と詳細が記載された公式サイトへと誘導し情報を補完する方法です。クリエイティブで印象的なCMや広告で消費者の興味を引き出して名称を記憶してもらい、Webサイトを検索してもらいます。

 検索でURLを知ってもらうのではなく、もっと直接的に訪問を促す手段としてはQRコードが活用されています。新聞に掲載される旅行会社の広告などは、旅行毎に割り振られたQRコードをスマートフォンで読み込むことで詳細ページに移動ができ、そこから申し込みまでの導線を整えることができます。この手法は新聞や雑誌だけではなく、テレビ画面でも可能です。

 雑誌や新聞などは記事をデジタル化することで、より多くの層へのアプローチが期待できます。限られた誌面・紙面の中で伝えきれなかった情報はもちろん、追加された情報をリアルタイムで増やしていくことも可能です。

マス広告&動画配信サイト

 制作したテレビCMを、動画配信サイト内のCMとして流すことも可能です。数秒経つとスキップ機能で広告を飛ばせますが、CM動画が自動で再生される無料会員に最初のほうの動画を見てもらうことができます。

 CMそのものをデジタル化する方法もあります。一定期間、番組のスポンサーとなる「タイム広告」以外では、視聴者が見たいCMを狙って見ることは簡単ではありません。しかし「話題となったCMを見てみたい」といった需要があることから、テレビCMを自社の公式サイトに掲載している企業は多くあります。放映費を掛けることなく、CMを見てもらうことができることが利点です。注意したいのは、タレントを活用している場合の契約内容。テレビCMだけではなくオンライン上の配信についても許可を得ておく必要があります。

マス広告の特徴を生かしたマーケティング活動を

 マス広告は、不特定多数に概要を伝えたり、イメージを植え付けたりすることに長けています。一方で直接的な消費へ促すことが難しい側面がありましたが、デジタル広告と組み合わせることで、これまで弱かった消費行動への導線を作ることが可能です。

 マス広告の特徴を理解し、そのほかの多様な手段を組み合わせることで、効果的なマーケティング活動を行いましょう。

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この記事の著者

マーケ研究所(マーケケンキュウジョ)

 マーケティングに関する情報を調べ、まとめて届けています。

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2024/07/01 09:14 https://markezine.jp/article/detail/44599

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