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BtoB企業における「イベントマーケティング」の新常識、データ活用で勝つイベント攻略法

開催中~終了後も成果が伸ばせる!BtoBイベントのデータ活用と今後のあり方

 ウイングアーク1stの松久育紀です。BtoBマーケターに役立つイベントマーケティングの手法や考え方について解説する本連載。前回は、「イベント成功のための集客設計とデータ活用」についてお話ししました。今回は、イベント開催中にどのようなデータを見て、どのような改善を行うのか、イベント終了後にどのようなデータ分析を行っているのか。そして、イベントのこれからについて、ウイングアーク1stが毎年開催しているビジネスカンファレンス「updata」を例に挙げながら、解説していきます。

BtoB企業における「イベントマーケティング」の新常識、データ活用で勝つイベント攻略法

今の時代に知っておきたいイベントマーケティングの基本
BtoBイベントを成功に導く設計に必要な5つのステップとは?
─ 開催中~終了後も成果が伸ばせる!BtoBイベントのデータ活用と今後のあり方(本記事)

イベント開催中に見るべき指標と行うべきリカバリ施策

 弊社主催のビジネスカンファレンス「updata」はこの数年は3日間にわたり開催しており、開催年によってオンライン開催のみやオンラインとオフラインのハイブリッド開催など、形式が異なります。

 ただ、開催時にモニタリングしていた効果指標は大きくは変わっていません。下図の左側が効果指標、その結果に応じて実施したリカバリ施策が右側です。

イベント開催時期の効果指標と実施したリカバリ施策
イベント開催時期の効果指標と実施したリカバリ施策

 大まかに参加者数を確認するだけではなく、ログイン数/来場者数、来場者属性、時間帯別・セッション別の視聴者数、視聴回数(オフラインの場合は聴講者数)なども確認します。

 リカバリ施策としては、申し込み者に対して各日の開始前・終了後に翌日の見どころやその日の様子を撮影した画像を入れた案内メールを配信し、来場率の向上を狙いました。目当てのセッションしか確認していない参加者も多いので、次のセッション内容の告知も随時行いました。このひと押しは意外に効果的です。

 また、スポンサーを募っているイベントである以上、協賛企業が期待している効果を享受できているかどうかも重要になってきます。オンラインの場合はリアルタイムでデータを収集できるため、協賛企業のオンラインブースへの訪問者数、資料DL数、問い合わせ数などの数字を随時チェックします。

 そして、協賛企業のリカバリ施策では、イベントの幕間でのブース誘導や協賛企業と親和性の高いセッション後の誘導アナウンスなどを実施しました。また複数日開催のため、アンケートの回答内容から翌日以降の運営の改善につなげたり、告知の強化につなげたりと、リアルタイムでリカバリ施策に反映していきました。

イベント開催後に行うデータ分析とフォロー

 イベント開催後には、収集したデータから単純に数字を追うだけでなく、多角的に分析・検証をすることによって、イベントの効果を正しく把握でき、リードから案件獲得にまでつなげていくことができます。下図の左側が開催後に見た効果指標、右側がその後に実施したフォロー施策です。

イベント開催後に見た効果指標と実施したフォロー施策
イベント開催後に見た効果指標と実施したフォロー施策

 獲得したリードに関しては、ホットリードであればインサイドセールスのフォローにつなげ、コールドリードであれば主にセミナーへの誘導につなげました。

 このとき、そのリードがホットかコールドかは、アンケートの回答内容だけで決めてしまっては機会損失につながることがあります。たとえば、アンケートの回答内容がそっけないものであっても、実際にはセッションをいくつも視聴していることがわかれば、その人はコールドではなくホットリードの可能性を秘めています。そのため、アンケートと行動データを掛け合わせた分析が重要です。

 案件創出・受注数に関しては、ホットリードからの直接的な案件受注(ファーストタッチ)だけでなく、イベント参加者と接点を持ったことによって後々の受注につながったという間接的な案件受注(マルチタッチ)についても追跡して確認します。こちらについては、商材によっては中長期的に観測していく必要があります。当社の場合は大体半年~1年半くらいの期間で見ています。

 このイベントで初めて当社のマーケティングデータに登録された新規リードの分析も行い、新たな接点の創出にいかに貢献したかについても明らかにしました。さらに、セッション視聴情報やリード属性情報をインサイドセールスのABM施策にもつなげました。

 また、珍しいかもしれませんが、既存案件や販売パートナーへの関与についても、進行中案件のユーザー企業の参加数、パートナー企業の参加数で評価しています。

 このように、多角的な視点から分析・検証することによって、このイベント自体が狙った役割を果たせているかどうか、このイベントにはどのような意義があるかを正しく評価できると考えています。

 そして、イベントで実施したセッションは良質なコンテンツとして二次利用することができます。

 弊社では、イベント開催後のアーカイブ公開はもちろん、別のオンラインセミナーや外部イベントで再利用することで新たなリード獲得にもつなげています。イベント開催時の視聴データを見ればどのような属性の方が興味を持つコンテンツなのかもわかるので、二次利用先や得られる効果も想定しやすいです。

 ただし、このとき注意しなくてはいけないのは、コンテンツの賞味期限。旬が過ぎた情報をコンテンツとして活用すると、ターゲットの心を掴めないばかりか、企業のブランドも損なうことになるので注意が必要です。

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この記事の著者

松久 育紀(マツヒサ ナルキ)

 外資系ITベンダーでプロダクトマーケティングとして複数製品の国内ローンチやプロモーションを担当後、2016年にウイングアーク1stに入社。リードジェネレーション全般の責任者としてオンライン/オフライン双方のプロモーション活動を統括、2023年よりブランディング全般の責任者としてイベント・広告を通じた認知・啓蒙活動...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/21 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45506

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