オンライン?オフライン?実践してわかったメリットデメリット
新型コロナウイルスの感染拡大はイベントマーケティングにとっても大きな転換点となる出来事でした。オフラインイベントの多くは中止・延期となり、イベントのあり方も根本的な変化を求められました。
当時の私たちにはオンラインイベントの実践経験がほぼなく、走りながらトライ&エラーで実践しました。その中で気づいた変化をいくつかまとめます。
場所と時間の制約を超えた、参加者の変化のメリット
オフラインイベントであれば、決まった時間・場所での開催となり、会場の場所や収容人数、開催時間によって集客数が大きく左右されていました。一方オンラインイベントは、ネット環境さえあれば世界中どこからでも参加可能で、参加人数の制限もなく、アーカイブ配信を行えば、時間の制約もなくなります。
この違いによって生まれてくるのが、リーチするターゲットです。従来のオフラインイベントのターゲットとなっていたのは、主に自社のビジネスに直結する質の高い顕在層/認知層が中心でした。一方、オンラインイベントでは幅広い層にリーチできるため、顕在層だけでなく潜在層/非認知層までターゲットを広げて集客することが容易になりました(下図参照)。
実践してみてわかったデメリット
その一方で、オンラインイベントのデメリットもあります。一番は参加者と主者の間のコミュニケーションの質の低下です。オンラインではオフラインのように会場内での参加者との直接的なコミュニケーションが生まれにくく、情報の一方的な提供になってしまうため、その後の態度変容につながりにくいという課題があります。
集客数は増えたものの、ホットなリードの創出に苦戦した、というのはオンラインイベントを開催したことのあるマーケターなら誰でも感じたことではないでしょうか。
【イベント設計の仕立て方】
イベントを設計する上で大切なのは、オンラインとオフラインの違いを認識し、どう使い分けるかをしっかりと考えることだと悟りました。イベントに期待される効果や集客規模も変わってくるので、企画設計段階からターゲットや目的を明確化することが大切になります。特にコミュニケーションが一方通行になりやすいオンラインイベントにおいては、ターゲットや目的に応じたコンテンツ設計がより重要になります。
オフラインイベントであれば、セッションとは別に展示スペースを用意し、休憩時間に参加者とより具体的な会話をして商談の約束をその場でする、ということもできました。しかし、オンラインイベントの場合はコミュニケーションが断続的な形になります。オンラインイベントを支援する様々なツールもあるため、オンラインでもある程度のコミュニケーションを作ることはできますが、やはりオフラインに比べると難しい、というのが実感です。
コンテンツマーケティングと似てる? オンラインイベント設計
オフラインの場合は会場に来てもらえさえすれば、良くも悪くもある程度は力技で何とかできた部分が、オンラインではコンテンツ(=セッション内容)に依存する割合が多くなるため、より細分化した設計が必要となります。
具体的には、各イベントのターゲットの属性とフェーズに合わせたコンテンツ設計を行います。考え方的にはコンテンツマーケティングと似ており、たとえば、顕在層/認知層には製品紹介のイベントを設計し、潜在層/非認知層には「データ活用によって解決できる○○」というような課題想起のためのイベントを設計するといった形です。
また、下の図のように意思決定者なのか、現場担当者なのかといったターゲットの属性の縦軸と、認知度もしくは商談の進度の横軸によるマトリクスを用いて、どのイベントに誰を集客するか決めていく方法も良いでしょう。
大型イベントの場合は、一つのイベントの中に様々な属性の参加者が来ることになるので、セッション単位で上記の設計を行うことになります。