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データだけで顧客は見えない―パーソナライズビューティケア「FUJIMI」に学ぶ顧客インサイトの捉え方


顧客同士が共通項でつながる

磯山:先程のオープンチャットの話をもう少し聞かせてください。ユーザー同士のコミュニケーションの場を作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?

成田:今までは新規獲得に力を入れていましたが、ここ数年はプラスして、お客様に継続していただき、LTVをあげていこうという話をしています。

 そのためには顧客ロイヤルティを上げることが重要ですが、これまでのSNS施策ではコミュニケーションが一方通行になりがちで、お客様から反応が戻ってこないといった課題がありました。そこで、双方向のコミュニケーションができる場を作りたいと考え、「FUJIMI ダイエット部」を始めました。

 世の中的にも、お客様同士で口コミを交換したり商品をおすすめしあったりしてもらって、熱量を高める流れがありますよね。

磯山:最近増えていますよね。やはり、LTVが高いユーザーを作る、いわゆる「ファン化」という面では強いという印象があります。

小野:実際に、お客様同士で自発的にレシピ共有をしたり、励ましあったりなどの交流が生まれています。我々のお客様は「単に体重を落としたい」のではなく、「きれいで健康的に痩せたい」という方が多くいらっしゃいます。そうした共通目標があるからこそ、つながりやすいのだと思います。

磯山:SNSでの施策でいうと、インフルエンサーマーケティングにも力を入れていらっしゃいますね。どのような取り組みをされていますか。

小野:弊社はインフルエンサーマーケティングで拡大してきたのですが、昨年リブランディングをしたタイミングで、依頼するインフルエンサーさん達の属性などを変えつつあります。たとえば、LTVの高い年代の方々に情報発信することを意識して、今までより年齢が上の方に商品をPRしてもらうなどです。

磯山:一言でインフルエンサーマーケティングと言っても、5年前と今では全然違う印象があります。

小野:以前はインフルエンサーの方の影響力のみが全てで、その人さえ映っていれば商品が少ししか映っていなくてもそこから認知が広がるという感じでした。

 今はアルゴリズムが大幅に変わり、おすすめ欄に露出するためにはリールやショート動画の価値がものすごく上がったと感じています。それを踏まえて、短い動画を魅力的に作れる方に依頼をしたりということも意識していますね。

磯山:インフルエンサーの方に発信を任せる上で、気にかけていることや工夫していることはありますか?

小野:同じ方に何度もお願いするよりも、できるだけ新規のインフルエンサーさんを毎月探しています。やはりインフルエンサーの方にもファンになっていただきたいので、色んな方にアプローチして、実際に商品を試していただいています。

 実際、案件が終了した後に「今までプロテインが苦手だったんですけど、FUJIMIさんのプロテインなら続けられそうです」と連絡をくださる方もいらっしゃいました。

磯山:ただ「商品を売ってくれ」というより、仲間であり、ファンにもなってもらいたく、リスペクトしあう関係なんですね。

小野:そのため、なるべく代理店さんを挟まずに、基本的には直接ご本人と連絡を取り、新規のアプローチからクロージングまで一貫して全部社内で行っています。また、インフルエンサーの方を守るためにも、投稿内容の薬事チェックなどは入念に行うようにしています。

更なるパーソナライズブランドに

磯山:「FUJIMI」ブランドやその他のトリコさんのブランドも含めて、ユーザーさんにとってどういうブランドになりたいですか?

成田:誠実で信頼されるブランドでありたいと常々思っています。パーソナライズブランドは分析のために多くのデータを持っているところが強みでありつつ、一方でお客様の個人情報をたくさん預けてもらっている立場です。

 お客様が安心して個人情報を預けられるブランドでありたいし、預けてもらったからにはより一人ひとりに寄り添った体験を提供していく、という関係性でありたいですね。

小野:手前味噌ではありますが、私は自社の製品がすごく好きなので、その気持ちが皆さんにしっかりと伝わるようにしたいと思っています。

 インフルエンサーマーケティングとオフライン店舗の両方を担当していて、両極端ではあるのですが、どちらも「人」と直接対面するものなので、対面だからこそ伝わるものを大事にしながら業務に取り組んでいます。

磯山:ありがとうございます。最後に、「FUJIMI」ブランドやトリコさんが今後目指しているビジョンを教えてください。

成田:買う前から買った後のアフターフォローまで含めて、ブランド体験全体を通して「パーソナライズビューティケアブランド」になっていきたいという話を社内でしています。

 例えば、人それぞれの悩みに合わせて入口の広告クリエイティブや飛んだ先のページも作り分けたいですし、目指すゴールや理想のライフスタイルに合わせたコンテンツや接客サポートをお届けできたらいいなと考えています。

磯山:パーソナライズの商品を出しているからこそ、接客もパーソナライズしていくと。

成田:パーソナライズ商品は最近増えていますが、個別商品のパーソナライズはあっても、いろいろな商品を扱う大きなブランドそのものがパーソナライズを掲げているところはまだまだ少ないと思います。

 FUJIMIはそういう意味でパーソナライズプロテインやパーソナライズスキンケアなど全部含めて「パーソナライズビューティケア」を掲げているので、言葉だけではなく、「ちゃんとパーソナライズだね」と言われるブランドでありたいですね。

編集後記

 今回は、パーソナライズビューティケアブランド「FUJIMI」を運営するトリコ株式会社の成田様と小野様にお話を伺いました。

 FUJIMIの特徴であるオンラインの「パーソナライズ分析」を提供されていることもあり、データを重視される印象を持っていましたが、店舗やユーザーインタビューなどで直接顧客に向き合い、オンラインでのコミュニケーションやコミュニティ施策に素早く反映して、ユーザーの熱量を高めていらっしゃることが印象的でした。

 今後、パーソナライズされた接客によって、単品商品だけではなく複数商品を組み合わせた提案まで行う、一歩進んだパーソナライズブランドへの進化が楽しみです。

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この記事の著者

磯山 博文(イソヤマ ヒロブミ)

株式会社wevnal 代表取締役

 2008年大手インターネット企業に新卒で入社し、メディアレップ事業、新規事業開発に携わる。2011年4月に株式会社 wevnal を創業し、LTV最大化を実現するBXプラットフォーム「BOTCHAN」を展開。累計導入社数は600社を超える。

 12期目を迎えた20...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/14 12:57 https://markezine.jp/article/detail/45509

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