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「スタサプENGLISH」のCM開発に学ぶ!調査ドリブンと面白さを両立したクリエイティブを導くマーケターになるには

「調査ドリブン」なのに、定性調査を最重要視⁈リクルート「スタサプENGLISH」のCM開発とは

「調査ドリブン」で最重視するのは定性調査

MZ:MarkeZine Day 2021 Springご登壇の際、リクルートでは「調査ドリブン」なCM開発をしていると話されていました。「調査ドリブン」というのはどのようなことを指しているのでしょうか?

奥田:「調査ドリブン」というとよく「定量調査だけやっていればいい」と思われがちなのですが、実は私たちが最重視しているのは定性調査です。定性での手触り感や感覚知がなければ仮説も生み出せず、定量調査をかけてもただの数字の羅列となってしまいます。私たちが伝えたいことが伝わらないまま、誤認の定量データを得ている可能性も十分にあります。

 具体的には、STEP.1でお伝えする「コンセプトボード(静止画1枚で商品説明をするもの)」の意図が正確に伝わらないまま1,000人以上の回答データが得られても、何の意味もありません。まずすべきは、定性調査で意図通りに伝わっているのかを確認し、その上で結果を定量的に確認することです。

 N1の方の刺激と認識と反応が1,000などの単位で出るのが定量調査ですが、むしろ、定性調査のN1の反応をシステマチックに大量に取ったのが定量調査と理解したほうが良いでしょう。そのシステム的なスケールの際に「口頭補足が追加でできない」「対人のプレッシャーがない」ことを踏まえて調査設計と分析をしないといけません。そのスケールによる聴取精度の減衰を乗り越えるためには、定性調査で意図通りに聞けているかの確認が不可欠です。

「本気での商談」の雰囲気で迫り、回答の真意を見抜く

奥田:また私たちの定性調査では、9割の時間をいわゆる「普通の定性インタビュー」として使い、残りの1割に「本気でお買い上げいただく商談」のつもりで迫ってみます。もちろん調査なので販売はしませんが、対象者の一言や表情含めた反応にリアリティがあるかで、これまでの回答を真に受けて良いか評価します。

 これによって、見栄や気遣いによる回答も見抜けます。一方で利用意向が確認できた場合はその感覚が、後の制作プロセスをリードする際にマーケターの武器となります。

奥田:私はこれを「手売りインタビュー」と呼んでおり、マーケター自身が行うことで、マーケターの中に「こういう方には、こうお伝えすれば買っていただける」という顧客像と訴求パターンが蓄積されていきます。これが、マーケターの「CM仮説を作る能力」の基礎となると同時に、ディレクションに欠かせない感覚知になります。

 具体的には、テレビCMを作る過程においても「この感覚を15秒に収めるとしたら、どうするべきだろう」と考えることにつながります。定性調査をスケールしたのが定量調査であるとお伝えしたように、対面販売をシステマチックにスケールしたのがテレビCMだと捉えることができます。つまり、対面で売れないマーケターはマーケターではないといえます。

 こうして得た顧客の見立てに関するマーケターサイドの仮説と、CM制作のプロであるクリエイティブディレクターや監督の仮説のすり合わせを行いながらブラッシュアップしていく。そういった作業を進める際にマーケターは「顧客から一番フィードバックを得ているのは自分」という自負があるからこそ、CM制作のプロからすると素人ながら、クリエイティブディレクターや監督とフラットに議論ができます。マーケターとクリエイティブディレクター・監督が議論しワンチームになることで、「視聴者の壁」と「ターゲットの壁」の2つを同時に乗り越えられるのです。

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/09/27 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46314

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