全国277店舗で実施される施策が異なる中、効果測定やコスト削減を進めるために
MZ:三井不動産リアルティのマーケティングにおける全体設計をお教えください。
野村:当社では、顧客ファネルやカスタマージャーニーの設定など全体的なマーケティング戦略の方針は私たちマーケティンググループが担いますが、実際に各エリアで施策展開をするのは全国各地にある店舗です。全社的に行えるWeb広告といったオンライン施策をマーケティンググループが推進し、地域密着型のオフラインを主とした施策は各店舗がローカライズして行っています。
お客様との接点もオンライン・オフラインの両パターンがあり、オンラインは自然検索やWeb広告からの流入がメインとなります。一方オフラインは来店や電話問い合わせとなりますが、そのきっかけは紙のチラシ・DM・Webを見たケースなど多様です。
MZ:マーケティングにおける課題は、どんなものがありますか。
野村:店舗によって広告運用が異なる体制の中で、具体的にどの方法が効果的か、非効率的かなど、明確な根拠に基づいた判断が難しい状態でした。業務効率化やコスト削減を進めるために効果測定を適切に行う必要があるものの、実施できていなかったのです。

荒木:私も営業現場にいた経験から、店舗ではお客様対応が中心でデータ集計や分析にまとまった時間が取りづらく、時には感覚的な判断をせざるを得ない場面が多いと実感しています。「このお客様は、きっとこうではないか」といった、暗黙知の経験則に基づく施策決定が行われています。
さらに、データを基にした施策決定は、Webからの問い合わせに関してはある程度検証が進んでおり可能でしたが、オフライン、主に紙媒体を通じた問い合わせの正確な効果測定は困難な環境でした。たとえば、チラシを見て電話で問い合わせをされる方が、どのような媒体で当社を認知いただいたかなどの実態は正確につかめないケースが多く、データが蓄積していきませんでした。
野村:加えて、全社的に事業体質の見直しが長年の課題として掲げられており、施策にかけるコストの整理を行うこととなりました。そのため、続けるべき施策とやめるべきものを判断するための材料をしっかりと収集していく一環として、2023年度から電話の効果測定サービス「コールトラッカー」の本格運用を開始しました。
なぜ三井不動産リアルティは「コールトラッカー」本格運用に踏み切ったのか
MZ:「コールトラッカー」の本格運用に至った背景をお聞かせください。
野村:様々な選択肢がある中で、大きな決め手となったのは「電話番号使い放題プラン」が出たことですね。
先ほど申し上げた通り、当社は多数の店舗を展開している他、広告のバリエーションも多様です。そのような状況下で個々の施策効果を測定するためには、大量のトラッキング用電話番号の確保が必要でした。具体的には、年間1万件近くの番号発番が理想的でしたが、使用する分だけ支払いが発生する従量課金方式では相当なコストがかかります。
その結果、効果検証のコストを削減するためのツールが、逆にコスト増加につながるというジレンマに直面していました。その際にコムスクエア社より番号が無制限に発番できる「電話番号使い放題プラン」がリリースされたとの情報をいただいた時に「これならやりたいことが実現できる」と確信し、本格運用に移行しました。
MZ:現在は「コールトラッカー」をどのように活用されていますか。
野村:システムログを通じて、お電話いただいた件数や通話時間などを確認しています。また、正確なコンバージョン測定のために、不動産売買のご相談などのお問い合わせとそうではないケースを区別する判別機能を活用しています。
今後は、お客様がお問い合わせした目的を把握するためにIVR(自動音声応答)機能の導入も検討したいと考えています。問い合わせを的確に営業につなげやすくなるなど業務を効率化できる他、電話対応をする社員も次のコミュニケーションをある程度イメージしながら対応に入れます。結果として、お客様に対してストレスを感じさせない案内を提供できるケースも増えると感じています。
このように様々な機能を活用することで、施策の効果検証だけでなく、お客様のお問い合わせ内容に即した質の高い対応が可能になると考えています。