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イベントレポート

AIと人間のチームに必要な戦略は?世界のCMOたちに学ぶ/INBOUND 2024レポート


 米国時間の9月18日から20日にかけて開催された、HubSpot社主催のビジネスカンファレンス「INBOUND 2024」。会場となったボストンのコンベンション&エクシビションセンターには世界各地から多くのマーケターが集い、テクノロジーのより良い使い道、戦略において求められる新たなキーワードを共有した。本レポートでは、MarkeZine内でも現在注目されている生成AIなどのトピックを軸に興味深いセッションをピックアップ。国内の読者に向けて明日の業務に向けたアイデアやキーワードをお伝えする。

今、マーケターが直面する「三つの大きなシフト」

 まず触れておきたいのは、2024年に起きているという“三つの大きなシフト”だ。HubSpotでマーケティング製品のゼネラルマネージャーを務めるニコラス・ホーランド氏が登壇したセッション「Building for the Marketer in 2024 and Beyond(2024年とその先のマーケターに求められる戦略構築)」では、次のように説明された。

ニコラス・ホーランド氏
ニコラス・ホーランド氏(HubSpot, マーケティング製品ゼネラルマネージャー)

1.オーディエンスにリーチするのが難しくなった

 Gartnerの調査によると、AIにより2026年までに検索ボリュームは25%減少する見込み。これはSearch GPTやAI Overviewなどの影響と見られる。また、SNSにおいてもLinkedInのリーチが約6分の1になり、Xのリーチが約7分の5に、Instagramはインプレッションが50%減となり、こちらでの接触も以前よりも難しくなった。

2.AIがマーケターの役割を変えている

 AIはマーケターの仕事を奪うのではなく、究極のマーケティングアシスタントになる。テクノロジーを拒否する人の仕事は奪われるだろう。

3.カスタマージャーニーがこれまで以上に複雑かつ断片的なものになり、計測が難しくなっている

 課題は「もっとデータを集めなければ」から「どうやってこの大量のデータを使おう」に変化。マーケターとして見込み客に接触するチャネルすべてがカスタマージャーニーの一部に数えられる。

AI活用を踏まえた「2024年のプレイブック」

 では、今後どのように対応すべきか? ホーランド氏は、マーケティングの普遍的な鉄則を「注目を集めること」「関係性を築くこと」「売上につなげること」とシンプルに説明し、2024年のプレイブックを次のように示した。

1.「ブレイクスルーコンテンツ」により、オーディエンスプールを築く

 SEOは、役に立つコンテンツを多く公開することから、「ブレイクスルーコンテンツ(=競争力のあるコンテンツ)」を集中して作ることへの変化が必要だと言う。同氏によると、日々のトラフィックの中には「追うにはリスクの高い、単刀直入なクエリ(Divest)」「正解が一つとは限らない複雑なクエリ(Differentiate)」があり、これらに対応するコンテンツへの投資は避けるべきだ。大きく投資すべきは「自社の製品やサービスの購買サインを感知できるクエリ(Double down)」であり、この領域で画期的なコンテンツを作ることを強く勧めている

スライド
同セッションのスライドより抜粋(クリックすると拡大します)

 SNSでの戦略も、既存コンテンツをSNSで共有するのではなく、最初からSNS用に最適化されたコンテンツ(ネイティブソーシャルコンテンツ)を作成することが重要になる。また、強調されていたのは「動画」の活用だ。動画はたまに作るだけのものという認識を捨て、「動画ファースト」なマーケティングを行うべきだと言う。

2.AIを活用したキャンペーンでリードを創出する

 キーノートでも語られたが、マーケターがすべてのことをやるのではなく、 AIがコンテンツを作り、マーケターは創造性や戦略的思考を活かして「キュレーター」としての役割を果たす(=精選する)ことが重要だと言う。また、一つのマーケティングチャネルに特化した戦術(たとえばメールマーケティング)への依存を脱し、複数チャネルでのキャンペーン展開を基礎とするべきとした。顧客がこれまでになく多様になっている中、チャネルの多様化も不可欠なのだと言う。

 「今後のマーケターはコンテンツを『良いコンテンツ』から『素晴らしいコンテンツ』に変えるのが仕事。現時点ではAIはバブル的な状態にあり、みんながAIの活用方法を試行錯誤している状態。これからAIはもっともっと良くなっていく」(ホーランド氏)

3.アクションにつなげられるデータを元に、見込み客を顧客に転換する

 ファーストパーティーデータ、サードパーティーデータなど、各データが断絶されたままの活用から、統合されたデータの活用へ。ホーランド氏は「個別のウェブサイト上だけではなく、カスタマージャーニー全体で何が起こっているのか理解することを重要視すべき」と述べる。

 また同時に、データ分析とレポート作成のすべてをマーケターが行うのではなく、AIがデータ分析をし、マーケターが示唆を得るようにすること、そしてセグメントごとのパーソナライゼーションから、(本来の)1対1のパーソナライゼーションへと変化させるべきだと語った。AIによるパーソナライゼーション機能を使うことで、CVRが75%以上増加することもありえると言う。

 このように、AIがマーケターの仕事を助けることは、なんとなく理解している方は多いだろう。では、マーケティング組織はどのようにAIを導入し、活用を広げるべきなのか。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/01 10:51 https://markezine.jp/article/detail/47059

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