オバマ政権以降、低下してきたGoogleの政治力
アメリカ合衆国第45代副大統領、アル・ゴア氏と握手をしたことがある。場所は、Google米国本社で行われたパーティー会場で、2008年だったと記憶している。そのパーティーには、アル・ゴア氏以外にも多くの民主党議員が参加していたし、日本からは楽天の三木谷会長をはじめ、電通・博報堂、大手広告主企業の社長や役員の方々が参加していた。
歴史的にGoogleは、民主党を中心に多額の政治献金を行ってきた。2008年はオバマ政権誕生の前年で、大統領選挙に向けて米国政府との交流を密に行っていた時期だ。だが、オバマ政権以降、アメリカ政府との良好な関係は徐々に崩れていった。つまり、Googleは政治力を失ったのだ。2017年のWall Street Journalの記事が Googleの政治力低下を的確に指摘している。
近年、ワシントンで大きな影響力を行使してきたグーグル。同社は政治力を失った今、しっぺ返しを受けながら、かつての力を必死に取り戻そうとしている。バラク・オバマ大統領の時代には、同社は議会の民主、共和両党や政権のメンバーに影響を及ぼし、シュミット氏は諮問委員会などのイベントを通じてホワイトハウスでオバマ大統領と頻繁に面会した。同社は米当局者による反トラスト調査に勝利し、ネットワークの中立性やインターネットに関する法的責任、著作権といった問題について有利な規則を手に入れた。
第一次トランプ政権誕生も影響しているだろうが、その後、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員などもGoogle解体を主張するようになっていった(参照記事:米大統領選出馬のウォーレン議員、GAFA解体を公約に)。
なぜGoogleは政治力を失ったのか? 明確なことはわからない。だが、シリコンバレーの知人と話してよく聞くのは「Googleと距離を取ったほうが有利だと考える政治家が増えた」ということだ。簡単にいえば、Googleや大手IT企業と一般のアメリカ人の所得格差が大きくなり、一般のアメリカ人の共感を得られなくなった。政治的に不利になる可能性が高くなった、ということだろう。