2024年、指名検索スコア1位は「あんのこと」
2024年も様々な商品、ブランド、コンテンツ、トレンドが生まれた中で、テレビCMを通して視聴者が気になりWeb検索したものが何だったのか。また、何がきっかけで検索行動に移したのか。ランキング上位のテレビCMを「ノバセル トレンド」で分析し2024年のトレンドを振り返ってみます。
※放映地域は関東 / 期間は2024/1/1~2024/12/31放映分のみ / 放映回数60回以上 / 一部ブランド制限あり
放映回数・imp(単位:100万):「インテージ Media Gauge TV/エム・データ 全国CMマスタ」
(出所)ノバセルトレンド
指名検索スコアとは
ノバセルでは、テレビCMインプレッション100万回あたりの分間指名検索ポイントを「指名検索スコア」と命名。スコアが高いほど検索獲得効率が良い傾向にあるとして、クリエイティブや放映枠を相対比較する際に、この値を用います。
上位にランクインしたテレビCMの傾向
2024年に検索されたCMランキングのトップ10には、2つの傾向が見られました。1つは話題のエンターテインメント作品や同年の活躍が光ったタレントの出演に注目が集まったケース。もう1つは、関心が高まっている新ジャンル・新傾向の代表格を紹介するケースです。ここからは、指名検索スコアの高かった2つの傾向について考察します。
1.話題のエンターテインメントや出演タレントが注目のきっかけに
年間トップとなった第1位の「あんのこと」は、2020年に日本で実際に起きた社会的事件をモチーフにした映画作品。「衝撃の実話 映画化」というテロップと共に流れるセンセーショナルで物悲しい映像が印象的なCMです。
同年に放送されたドラマ「不適切にもほどがある」でも大きな注目を集めた女優 河合優実さんが主演を務め、同作とは全く異なる表情を見せているのも、視聴者の記憶に留まったのではないでしょうか。
8位の『TBS日曜劇場「VIVANT」オーケストラコンサート』も、前年下半期の大きな話題を引き継ぎ上位にランクインする中、伊藤沙莉さんとENHYPEN・NI-KIさんが“キレキレダンス”を披露する「マクドナルド」のCMは、固定ファンも多い「三角チョコパイ」という季節限定商品の発売開始を旬のタレントが華やかに後押しした結果、5位にランクインしました。
6位にランクインした「丸亀製麺」は、上戸彩さんが出演の安定感あるCMで、同社が全国47都道府県ごとにご当地うどんを展開する期間限定キャンペーン「わがまち釜揚げうどん47」が注目を浴び、検索が大きく上昇しました。
関心が高まっている新ジャンル・新市場の代表格
2位の電気自動車「BYD Auto Japan」は、2023年の日本市場での販売開始後、同年のCM放映で徐々に認知度を高めていく中、2024年4月から長澤まさみさんをCMキャラクターに起用し、ブランド認知の向上に成功しています。
ここ数年広く関心の高まっているリカバリーウェアの「BAKUNE」もまた、2024年下半期の櫻井翔さんを起用した新しいクリエイティブが功を奏して7位となり、全国で急激に店舗数の拡大を続けているコンビニジムの「chocoZAP」は、CM放映による検索効果が年間を通じて常に高く、10位という結果になりました。
3位の「マモルーム」は、蚊用とダニ用に続いて2023年8月に発売されたゴキブリ用の商品に対して2024年4月からCM放映を開始すると、これまでにはあまりなかった置き型のゴキブリ予防製品として、すぐに検索への反響が現れました。
続く4位の「LYPプレミアム」は、LINE、ヤフー、PayPayの各種サービスがおトクに利用できる会員向けの新たなサービスとして、各ブランドのキャラクターによる既存の認知度を活かしたクリエイティブが検索効果につながりました。
9位の「アサヒゼロ」も、ビール通にノンアルコールと明かさずブラインドテストを行うクリエイティブで驚きのおいしさを伝えつつ、大規模サンプリングの実施に関するクリエイティブも放映することで、需要の高まるノンアルコール市場における新商品の立ち上げに貢献する結果を作り上げました。