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Cookieレス×AI時代の新標準─リターゲティング広告の実践ガイド

ROASが大幅改善したケースも!調査&事例に学ぶ、マルチリターゲティングのすすめ

ROAS180%増の業界も!事例と調査でわかる効果の高さ

 2つ目のリターゲターを追加することの効果は、RTB Houseの調査でも明らかになっています。デジタルマーケティングの主な指標であるインプレッション数、クリック数、コンバージョン数、そして広告に費やした費用に対して得られた売上の割合であるROAS (Return On Advertising Spend:広告投資収益率)の観点から見てみましょう。

インプレッション数:37%の潜在顧客にリーチ

 広告インプレッション数の増加についてのデータを紹介します。単一のリターゲターを利用していた広告主が、2つ目のリターゲターとしてRTB Houseのシステムを導入したところ、最初の3ヵ月間で広告インプレッションの平均値が2倍に増加しました。

 この上昇傾向は一時的なものではなく、3ヵ月後や6ヵ月後にも継続しており、6ヵ月後には広告が平均して37.36%の潜在顧客にリーチしていることが確認されました。

 業界別のデータを見ると、ファッションでは75.05%、不動産では67.69%、ヘルス&ビューティーでは45.95%とそれぞれインプレッション数の増加が見られます。2つ目のリターゲターを追加することで、広告の到達範囲が大幅に拡大し、より多くの見込み客に接触できるようになったことがわかります。

クリック数とコンバージョン数:ともに大きく上昇

 リターゲティング戦略の効果を評価する上で、クリック数とコンバージョン数は非常に重要な指標で、マルチリターゲティングで運用すると、その効果が顕著に表れています。

 クリック数に着目すると、2つ目のリターゲターを導入してから6ヵ月後には、広告の平均クリック数がおよそ30%増加したことがわかりました。これは、インプレッション数の増加と、ユーザーに対する広告の関連性の向上が相乗効果を生み出した結果だと考えられます。

 コンバージョン数も劇的に増加しました。2つ目のリターゲターによるキャンペーンを追加してから3ヵ月後には、平均コンバージョン数がおよそ2倍に増加。そして、6ヵ月後の時点でもさらなる成長が見られたのです。

ROAS:半年で多くの業界が大幅改善

 広告主が注目すべき指標の一つがROASです。ROASは広告費用に対して得られた収益の割合を表し、この数値が高いほど広告投資の効率が良いことを意味します。

 ROASを重視する理由には、投資効果の直接的な測定が可能なこと、予算配分の最適化ができること、キャンペーンの継続的改善に役立つこと、企業全体の財務目標との整合性を保ちやすいこと、そして競合他社との比較が可能なことが挙げられます。

 複数のリターゲターを活用することで、ROASの向上も期待できます。以下の表は、2つ目のリターゲターを導入してから6ヵ月後のROASの変化を業界別にまとめたものです。

                  
業界 ROASの増加
ファッション (衣料品) 188.57%
ファッション (靴やアクセサリー) 22.86%
不動産 72.47%
ヘルス&ビューティー 66.59%

 このように、マルチリターゲティング戦略は、短期的な効果だけでなく、中長期的にも持続可能な広告効果の向上をもたらします。広告主にとって、この戦略は投資効率を高め、マーケティング活動の成果を最大化する有効な手段となるでしょう。

マルチリターゲティングでデジタル広告効果の最大化を

 マルチリターゲティング戦略は、広告の到達範囲を拡大しながら同時に広告の関連性を高めることで、効率的なマーケティングを実現します。本稿でご紹介したように、複数のリターゲターを活用することにより、インプレッション数、クリック数、コンバージョン数、そしてROASといった主要な指標において顕著な改善が確認されました。特筆すべきは、導入から6ヵ月が経過しても効果が持続し、業界によってはROASが100%以上増加するなど、長期的な改善が見られた点です。

 次回の記事では、マルチリターゲティングにおいて生じる様々な疑問点や懸念点について解説します。たとえば、2つ目のリターゲターを導入した際に生まれる疑問点である「ユーザーの重複率とその影響」「過剰な広告表示頻度」「費用対効果」「運用のコツ」などについて取り上げます。また、ユーザーの重複率が全体的な効果と比較するとその影響は小さいことを、具体的なデータとともに説明します。

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この記事の著者

奥内 鉄治(オクウチ テツジ)

RTB House Japan カントリーマネージャー
毎日新聞社、FOXインターナショナルチャンネルズ、Yahoo Inc.などを経て、2017年RTB Houseの日本事業に参画。20年以上デジタル広告の領域を歩む。2021年より現職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/10 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48621

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