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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

【最終号特集】未来を創る、企業の挑戦

「感動立国」実現に向けた、B.LEAGUEの挑戦 大改革を通じて目指す世界観とは

顧客体験の高度化・多様化を実現するマーケティング戦略

──B.革新における戦略領域には「顧客体験の高度化と多様化」も設定されています。ポイントや狙いをうかがえますか。

 まず、キッズ層向けマーケティングの強化が挙げられます。現在の主要な観客年齢層は20代後半から40代前半に集中しています。このような既存のコアファンに加えて、持続可能なスポーツビジネスの実現には次世代ファンの育成が不可欠と考え、若年層、特に子どもたちを対象とした取り組みに力を入れています。親しみやすいIPとのコラボレーションによる接点創出や保護者に向けた情報提供、家族で楽しめるアクティビティの設計などを行っています。

 この他、2016年よりB.LEAGUEアプリを運用しており、2025年4月時点で登録者数は200万人を超えています。チケットの購入にはID取得が必須となるため、これまで蓄積されたデータベースは我々のマーケティング戦略における重要な資産です。

 データ活用面における基本的なアプローチとしては、来場促進やクーポン配布などを実施しています。今後は、より高度なデータ分析に基づくマーケティング施策の展開を計画していますが、クラブ単位ではそのリソース確保に課題があるのが現状です。そのため進めているのが、リーグ主導のデータ分析です。B.LEAGUEがコンサルティング機能を担うことで、各クラブ運営の最適化支援を実現する構想を現在推進しています。

──新規顧客の獲得および既存顧客のリピート化にはどのように取り組むのでしょうか?

 新規獲得においては、先述のIPとのコラボレーションに加え、テレビを中心としたマスメディアによる露出拡大が効果的です。スポーツニュースは既存のファン層への訴求には有効である一方、幅広い新規顧客層の開拓においては、情報番組やバラエティ番組など非スポーツコンテンツでの露出が不可欠です。また動画配信プラットフォームにおいても試合ハイライト映像の提供に留まらず、オフショットなど選手個人に焦点を当てたコンテンツをはじめ、多角的な切り口による展開が必要だと考えています。

 さらに、プロモーション施策により獲得した潜在顧客層を試合観戦に結びつける戦略も重要です。認知後のジャーニーとしてSNSフォローをファーストアクションと想定した場合、マスコットキャラクターの活用や選手のパーソナリティに焦点を当てたコンテンツがライトユーザー向けには効果的です。このようなコンテンツでエンゲージメントを構築した後、選手への関心喚起を経て実際にアリーナ来場へ誘導し、その際発行するIDデータを活用してパーソナライズされたコミュニケーションを実施。リピーターへの転換を図ります。

B.LEAGUE創設10周年の節目に向けて

──最後に、今後の展望をお話しください。

 B.LEAGUEの事業規模は現在、米国のNBAに次いで世界でNo.2に並ぶ位置に達しています。しかしながら国際的なプレゼンスはまだ十分に高いとは言えず、まずはアジアでファンを増やすことを目指しています。特に現在、フィリピンの選手が多くB.LEAGUEでプレーしています。アジアでの認知をさらに広げ、放映権やグッズ販売の拡大、さらにはインバウンドで訪日ファンにチケットを購入いただくなど、市場を切り開いていきたいです。

 そして2025年、B.LEAGUEは創設10周年を迎えます。この記念すべき年をいかに盛り上げ、B.革新の構想に連動させていくかがカギです。開幕イベントの認知度向上や各地域のアリーナにおける満員を実現するため、多角的なプロモーション展開を企画しています。併せて、引き続き2050年の「感動立国」実現に向けてB.LEAGUEらしさを体現する革新的な取り組みに挑戦してまいります。

2026-27シーズンよりリーグのロゴも刷新する ⒸB.LEAGUE
2026-27シーズンよりリーグのロゴも刷新する ⒸB.LEAGUE

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/06/30 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48973

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