デジタル終活という新しい課題
終活の新しい領域として注目すべきは「デジタル終活」です。今回の調査の「終活の認識」の中で、「パソコンやSNSデータの整理」「デジタル登録情報の整理」というデジタル終活が存在感を増し、現代終活の複雑さを象徴していました。
パソコンやSNS、スマホのパスワードや契約情報の管理は、家族間でも把握しづらい領域。「亡くなったあとに迷惑をかけたくない」という思いがあるものの、実際には誰に相談すればいいかわからない人が多いのが現状です。
この“見えないデジタル終活”は、信頼性やセキュリティと直結するため、提供できるプレーヤーは限られています。しかし裏を返せば、そこにこそ強いニーズがあります。金融機関、保険、ITサービスなどが連携し、デジタル資産の管理・整理をサポートできれば、新しい市場が形成される可能性は大きいでしょう。
未来の終活は“生活の習慣”になる
「終活」という言葉には、“終わる”だけでなく、“始める”という視点も含まれています。生活者の声に耳を澄ますと、それは「死の準備」ではなく「生きかたの再設計」であることがわかります。
そして、これからの終活は「特別な準備」ではなく、「日常の延長」に組み込まれていくという見立てです。暮らしの中で自然と「減らす」「見直す」「始める」が繰り返され、その循環自体が終活となっていきます。
モノを減らしたら新しい趣味を始める、年賀状をやめたら余白の時間で健康投資を考える。やめる→余白ができる→新しい挑戦、という循環が人生後半に何度も訪れるのです。これは「無意識終活の習慣化」であり、終活が生活に根づいた姿です。
ビジネスにとっては、“幕引きサービス”から“未来を創るサービス”へと広がる大きなチャンス。この前向きかつ無意識な行動を可視化することで、終活市場は今後ますます拡張し、明るい成長を遂げていくことでしょう。