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AIリサーチの「98%普及」が招いた落とし穴──4割が直面するエラーと、求められる“人間の眼”

 マーケティングリサーチの現場におけるAI導入は本格化し、企業の意思決定スピードと分析プロセスは激変の最中にある。そんな中、米調査プラットフォーム大手のQuest Mindshare傘下であるQuestDIYとThe Harris Pollが市場調査に携わる219名のリサーチャーを対象に行った調査結果が発表された。これによれば、98%がAIを日常的に活用し、72%は「毎日、あるいはそれ以上の頻度」で利用しているという。わずか数年でAIは“先進企業の試験運用ツール”から“業務の前提インフラ”へと位置づけを変えつつある。しかし、ツールが進化すればするほど、現場では「人間の眼」の価値がかつてないほど問われ始めている。98%がAIを使う現場で、今なにが起きているのか。

AIが起こした生産性革命──“数週間の作業”が“数分”に短縮

 AI普及の原動力となっているのは、圧倒的なスピードと処理スケールだ。調査では、AIの主な利用領域として「複数データソースの統合分析」(58%)、「構造化データ分析」(54%)、「インサイトレポートの自動生成」(50%)、「自由回答テキストの分析」(49%)、「調査結果の要約」(48%)が挙げられた。いずれも従来は“大量の時間”を必要としていた業務である。

 特に自由回答(オープンエンド)の分析は、日本企業のマーケターにとっても効果が大きい。CSや顧客アンケート、製品レビュー、SNS投稿のテキスト解析は工数が重く、属人的になりがちだった領域だ。AIはここを一気に自動化し、回答群を数秒でクラスタリングし、要点を抽出する。従来の「読み込みの壁」が消滅したことで、より多様な回答が分析対象となり、“顧客の生の声”に深く向き合えるようになった──そう実感するマーケターは多い。

 速度だけではなく質の面でも変化が起きている。44%が「分析精度が向上した」と回答し、43%が「AIのおかげで見落としていた可能性のある洞察を発見できた」と振り返る。AIは複数データを横断し、相関や隠れたテーマを早期に見つけることを得意とするため、判断材料の幅が広がったという実感が多い。現場では、戦略仮説立案にかける時間を増やせた、付加価値業務に集中できるようになった、といった声もある。

 こうした効果実感は総じて強く、89%のリサーチャーが「AIによって仕事が良くなった」と答え、そのうち25%は「劇的に改善した」と評価している。

4割が“エラー頻発”を懸念──AIリサーチの光と影が交錯する現場

 一方で、AI活用が急激に進んだことで、新たな不安も浮き彫りになっている。調査では39%が「AIはしばしばエラーを起こす」と回答し、37%が「データ品質・正確性に懸念がある」と答えた。AIの出力が一貫しない、前提が曖昧、引用が正しくない──こうした問題が目立ち、結果的に“人間による再チェックの工数”が増えているという指摘も多い。

 AIの透明性に対する懸念も根強い。どの情報を参照して回答したのか、どの判断ロジックで分類したのか、クライアントに説明しづらいケースは依然として存在する。特に日本企業は意思決定の場で“根拠の明確さ”を重視するため、AIが生成したインサイトをそのまま使いにくい構造的課題を抱えている。

 こうした状況に対し、QuestDIYのManaging DirectorであるGary Topiolは、AIを「スピードと処理力に優れた“ジュニアアナリスト”」と表現しつつ、「最終判断や監督は依然として人間が担う必要がある」と語る。実際、多くの組織では“AI任せ”ではなく、“人間主導のハイブリッド体制”が主流だ。調査では、「人間主導でAIが強く支援」が29%、「人間主体でAIが部分的に関与」が31%を占め、合わせて6割以上が人間を中心に据えた運用となっている。

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AI時代のリサーチャーに求められる新役割──“品質管理ディレクター”へ

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この記事の著者

岡 徳之(オカ ノリユキ)

編集者・ライター。東京、シンガポール、オランダの3拠点で編集プロダクション「Livit」を運営。各国のライター、カメラマンと連携し、海外のビジネス・テクノロジー・マーケティング情報を日本の読者に届ける。企業のオウンドメディアの企画・運営にも携わる。

●ウェブサイト「Livit」

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2026/01/20 08:30 https://markezine.jp/article/detail/50195

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