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広告は数字と競争から抜け出せるのか 小島よしおさんと考える、愛されるコンテンツの話

理屈を超えて愛される「そんなの関係ねぇ」は、偶然の産物だった

藤平 しかも、最後にロジックを凌駕したそういうものって、理屈が透けて見えないので「刺さる」んですよ。最近気になっているのは、「被分析性」という言葉です。お笑いにせよコンテンツにせよ、業界内では広告もですが、なんとなく「分析ブーム」じゃないですか。分析って成長につながるトレーニングではあるのですが、「どうしてこうなったのか分析できない」というもののほうが最後は強い気がしています。つまりさきほどの言葉で言えば、広告以外の領域で「被分析性が低い」企画を作りたいわけです。

 広告の言葉の由来は「“広く”告げる」ですので、つまりは「全員がなんらか分析できる」ほうが理解してもらいやすいとも言えるのですが、最近はそれと反対に「特定の層に」「深く」届き、かつ、理屈を超えて愛されるものはどうすれば生まれるのだろうと考えています。その最高傑作のひとつが「そんなの関係ねぇ」だと思っているので、どのように生まれたのかとても気になります。

小島 もともとギャグではなかったんですよ。クラブでマイクを渡されてラップをしたのですが、上手くいかなかった結果生まれたもので、ネタとして考えたわけではありませんでした。ただ、数ヵ月経ったときに知人から「『そんなの関係ねぇ』、まだ家族の前でやってるよ」と言われて。

藤平 え、どういうことですか(笑)?

小島 クラブで見た印象がとても強かったのでそれを家族に教えたら、家庭のなかでちょっとしたブームになったようなんです。当時はピン芸人になりたてでネタが少なかったこともあり、その話を聞いたあとのラジオで披露してみたらそれがヒットして、舞台でもやってみたら事務所のライブが大盛り上がりして……。そうしているうちに、テレビにも出演できるようになっていきました。

 現在の海パンスタイルもこのときに生まれましたね。テレビのオーディションで、前半は「服を脱ぎながら怪談を話す」という持ちネタのあと、最後に海パン一丁で「怪談、上手くいかなかった、下手こいた~」から「そんなの関係ねぇ」をやったところ、ディレクターに「前半は要らないな」と言われまして(笑)。そこから海パン一丁で登場するようになりました。

 私のことを「主観と客観のバランスがいい」と藤平さんはおっしゃってくださいましたが、こうやって振り返ってみるとたしかにそうなんですかね(笑)。とりあえずオススメされたらやってみて、良かったものを進化させながら自分らしく続けているイメージです。

求められるのは「変化」への柔軟さ 小島よしおはアジャイル型? 

藤平 当時、ディレクターから方向性を示されて「いやいや、自分はこっちのほうがやりたいんだ」と思ったりしなかったですか?

小島 それはあまりないですね。もともと活動していた5人グループが解散したことで、自分が「おもしろい」と感じていたものを否定されたような気がして……。そのときに「これまでの自分は捨てないといけない」と思ったことが根底にあるかもしれません。

そもそもネタづくりも別の人がしていましたし、自分の能力がそこまで高くないと自覚していたので「自分にはないことを提案してくれる人に乗っかろう」というイメージでしょうか。

藤平 お話を聞いていると、小島さんは根っからの「アジャイル型人材」なのではないかと思えてきました(笑)。

小島 アジャイル?ですか? 初めて聞きました。

藤平 もともとはシステム開発の用語らしいのですが、組織や人材を指す場合は、実行と改善を短いスパンで繰り返し、素早く意思決定していくことで価値創造・課題解決するといった意味で使われています。緻密な計画や過去の成功事例に縛られすぎず、柔軟にトライアンドエラーを繰り返すことは、新しいクリエイティブワークでとくに重要になり、個人的にも目指している姿です。

 たとえば映像でも「15秒・横型」というテレビCMの王道パターンが、スマホの台頭で「6秒・縦型・スワイプ」になったり「1時間・スクエア・倍速」になったり、すごい速さでフォーマットが変わっているのにともなって「いいクリエイティブ」も変化していきます。

 その際に、自分たちは「考えかた・作りかたから作り直す」ことが必要になるわけですが、そのときに大切なのが、それを楽しみながらできるかどうか。そのときは、ためらいなく人に聞くことも、失敗を受け入れることも重要なわけで、そのあたりが今まさに試されているなと思っています。

小島 なるほど。お笑いも、賞レースがたくさん生まれた結果、ルール・フォーマット・いいお笑い像みたいなものは変化していますし、ちょっと似ている部分を感じますね。たしかに自分は強い信念があるほうではないので、アジャイル型と言えるかもしれません。

藤平 ちなみに小島さんのなかで、「おもしろい」「良い」コンテンツの基準はありますか? 

小島 「生の声(n=1の声)」を重視していますね。野菜の歌であれば「うちの子ども、野菜の歌がきっかけでナスを食べられるようになりました」などの反響があると、取り組んだ意義を感じます。反対に、YouTubeであれば再生回数は気にしていません。100人が何となく観るよりもひとりの印象に残る。「人生変わりました」とひとりの方から反響をいただくほうが、僕は自信になります。

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「答えを描く」広告、「選択肢を増やす」コンテンツ

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The Expert Sessions by HAKUHODO 百花繚乱のクリエイターとトップランナーの語り場連載記事一覧
この記事の著者

鬼頭 勇大(キトウ ユウダイ)

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社博報堂

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/03/18 09:02 https://markezine.jp/article/detail/50380

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