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MarkeZine Day 2026 Online

MarkeZine Day 2026 Spring

AIに選ばれ、人に決められる。元リクルートVP・現NexGenが説く「意思決定の分断」と統合マーケ論

プラットフォームの横断と、再評価される「オフライン」の価値

 AIの影響は、検索行動だけでなく、SNSなどのプラットフォームや実店舗(オフライン)のあり方にも大きな変化をもたらす。

 現在、InstagramやTikTok、X(旧Twitter)といったSNSは、それぞれの「コア体験」に基づいて生態系が分断された、いわば“箱庭”のような状態になっている。マーケターは各プラットフォームの特性に合わせてアプローチ手法を設計してきたが、AIエージェントの進化はこの前提を破壊することも予測される。

 「今後は、OSやAIの統合レイヤーがアプリやWebドメインの壁を超え、全プラットフォームから横断的に情報を収集し、ユーザーのホーム画面に最適なコンテンツを提示するようになります。究極的には、我々は各アプリの入り口を意識する必要すらなくなるでしょう」(金井氏)

 オンライン上での体験が「AIを介した間接接触」へと集約されていく一方で、金井氏は「だからこそ、オフライン(リアル空間)での『直接接触』の価値が相対的に上がる」と予測する。AIが提示した情報だけを受け取っていると、合理的な選択肢を提示される。だが、人は日々感情による非合理な意思決定をしているので、その選択肢の外にあるセレンディピティ(価値ある偶然の発見)を求めたくなるのではないか。人間の心が本当に動くのは、直接的なコミュニケーションや五感を使った体験、熱量に触れた瞬間だからだ。

 「人間が非合理な選択をする背景には、誰かに親切にされたり、感動的な体験をしたりといった『心が動く瞬間』が必ずあります。オンラインがAI経由の間接接触になるからこそ、フィルターを通さず人の心を直接動かす感動体験や、リアル拠点でのコミュニケーション設計の価値が飛躍的に向上するのです」(金井氏)

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 既に一部の小売業界などでは、アプリなどのオンラインIDとリアル店舗の体験をシームレスに連携させ、パーソナライズされた購買体験を提供する動きが進んでいる。AI時代の統合マーケティングにおいては、オンラインとオフラインの強みを明確に分け、融合させることが不可欠だ。

AIエージェントが担う統合CRMと、これからのマーケターの役割

 講演の締めくくりとして、金井氏はこれらの変化を包含した「AI時代の統合マーケティングモデル」の全体像を提示した。テレビや屋外ビジョンなどの「多面スクリーンへの配信最適化」、プラットフォームを横断した「AIを通した表出最適化」、そしてアンサーファーストな「LLM最適化コンテンツの生成」。これらの施策を通じて顧客との接点を創出した後、最大の要となるのが「統合CRM」の進化だという。

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 従来のCRMは、購買履歴や設定された条件分岐に基づく「ルールベース」の自動配信が主流だった。しかしこれからのCRMは、AIエージェントがユーザーの文脈や気分の変化を察知し、自律的に学習していく「対話型パートナー」へと進化する。

 「今後のAIエージェント型CRMは、PCやスマホの操作ログ、対話履歴などを深く理解し、ユーザー自身も気づいていない『欲しい』を発見してくれます。タイミングを合わせて『気づき』というギフトを提供してくれる、信頼に基づく長期的なパートナーになっていくのです」(金井氏)

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 マーケターの役割は、単に広告を回すことから、AIという強力なエージェントを味方に付け、オン・オフのデータを統合し、顧客が自然と訪れる「仕組み」を構築することへとシフトしていく。

 「AIに選ばれる機能的価値と、人に選ばれる情緒的価値。この2つを両立させ、顧客と持続可能な関係性を築き上げていくこと。時代が変わっても、『価値を届けて利益を生み出す』というマーケティングの本質は変わりません。AIという新しいツールを深く理解し、統合的に使いこなすことこそが、これからのビジネスを成長させる鍵となるのです」(金井氏)

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/13 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50515

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