エージェンティック・コマースが次のフロンティアへ
Taylor氏がセッションの後半で「次のフロンティア」として語ったのが、AIエージェントが人間に代わって行動を完結させる世界だ。既にその入り口となるツールは動き出している。
「Ads Advisor」はGoogle Ads上に搭載されたAIエージェントで(現在は英語圏の広告主向けに提供)、キャンペーンの最適化提案から実装まで、担当者の承認のもとで自動処理できる。
「Analytics Advisor」はGoogle Analytics内の仮想アナリストとして、Webサイトのユーザー行動を分析し、改善案を提示する。いずれも日常業務の「手作業」を減らし、マーケターが戦略に集中できる時間を生み出すことを目的としている。
コマースの領域では、「Universal Commerce Protocol(UCP)」という標準規格が導入された。ビジネスとAIエージェントを標準的に接続するためのプロトコルで、第一弾としてAI ModeおよびGeminiアプリ内から直接購入できる仕組みが既に米国で稼働している。APACでも「Flipkart」や「Shopee」との連携が予定されており、この直接購入機能の地域展開が進む見込みだ。
さらにGoogleは、米国において「Agentic Checkout」という自動購入機能にも取り組んでいる 。ユーザーが価格を追跡している商品が、設定した予算に達した瞬間に、ユーザーの事前の許可のもとでAIが自動的に購入作業を代行・完了させるという仕組みだ。
「エージェンティック・コマースのゴールは二つあります。一つは、消費者が買い物の煩雑な作業から解放され、楽しい部分に集中できるようにすること。もう一つは、業界と連携してAIエージェントが安全かつシームレスに機能するための基盤を整えることです」(Taylor氏)
マーケターに求められる次の一手
Taylor氏は、質疑応答のなかで、AI活用の恩恵の「現れ方」が企業規模や立場によって異なることを指摘した。中小企業・スタートアップにとっては、AI MaxやAds Advisorなど「手数を減らしながら成果を出す」運用ツールが即効性を持つ。一方、大企業や代理店に対しては、1stPartyデータとAIを掛け合わせた高度な活用が次のフロンティアになるという。
そして、AIに仕事を代替されると懸念が高まっているマーケターの役割についても見解を述べた。
「あるCMOがこう言っていました。『マーケターはAIに代替されるのではなく、AIをうまく使いこなせるマーケターが、使いこなせないマーケターを代替するのだ』と。GoogleがBCGと共同で実施した調査では、AIツールをマーケティング業務フローに深く組み込んでいる企業は、まだ導入初期段階にある企業と比べて収益成長率が60%高いという結果が出ています。AIは単なる効率化ツールではなく、事業成長のドライバーです」(Taylor氏)
検索が変わり、広告が変わり、購買体験が変わる。その変化の速度は、GoogleがAIに投資するペースと連動している。Taylor氏は最後にこう締め括った。
「20年間この会社にいますが、今ほど検索とビジネスの可能性に興奮したことはありません。私たちは今、まぎれもない拡張の時代にいます」(Taylor氏)
