AI Mode:チャットボットでも検索エンジンでもない「第三の体験」
AI Overviewsの登場によって、ユーザーの行動にある変化が生まれた。より長く、より深く質問するようになったという。Googleはこの反応から「チャットボットと従来の検索エンジンの中間に当たるニーズが満たされていない」と気づき、開発されたのが「AI Mode」だ。
AI Modeは、Googleが提供するAI検索の最上位機能に位置づけられる。チャットのように自然な対話形式で検索でき、フォローアップ質問を重ねながら調査を深められる。回答はWebへのリンクに裏付けられており、根拠の薄い生成AIの回答とは一線を画す。
「AI Modeにおけるクエリの平均的な長さは、従来型の検索クエリの3倍です。商業クエリも増えており、購買検討の過程でAI Modeが使われるケースが確実に広がっています」(Taylor氏)
インド・日本・オーストラリアなど複数のAPAC市場でも既に展開されており、ヒンディー語・韓国語・インドネシア語などの地域言語にも対応している。
広告との連携については、2025年5月より米国で、AI Modeの回答の下部および内部にSearch Ads・Shopping Adsを表示するテストが始まっている。また「Direct Offers」と呼ばれる新フォーマットも試験的に導入された。購買意欲が高まった瞬間にスポンサードディールを表示するもので、小売業者が購入機会を確実に捉えるための仕組みだという。
出典:Google Ads&Commerce Blog
検索広告はどう変わったか?Geminiが「意図の理解」を刷新した
検索行動が複雑化するなかで、従来のリスティング広告の仕組みは限界を迎えつつあった。固定キーワードへの入札という設計は、短いクエリを前提に最適化されたものだ。会話型・長文型の検索が増えるほど、キーワードマッチだけでは「ユーザーが本当に何を求めているか」を捉えきれなくなる。
この課題を解決したのが、GoogleのLLM(大規模言語モデル)であるGeminiをAD品質システムへ統合したことだ。
「Geminiは検索クエリの文字情報だけでなく、その背景にある意図~なぜそれを検索しているのか~を理解できます。これにより、これまで収益化が難しかった長文・複雑なクエリに対しても、関連性の高い広告をマッチングできるようになりました」(Taylor氏)
その成果として、不適切な広告表示率が平均40%削減された。Geminiを活用したクエリ理解の改善は、ほぼ月1回のペースで約2年間にわたって継続されており、広告品質の向上は今なお進行中だという。
さらにTaylor氏は、Geminiによる意図理解の向上が「ユーザー側」だけでなく「広告主側」の理解にも及んでいる点を強調した。AIは広告主のランディングページやクリエイティブアセット、そしてキャンペーンの目標などの入力情報から学習し、事業者が何を提供しているかを深く把握する。これにより、ユーザーの本当の意図とビジネスの提供価値を正確にマッチングできるのだという。
AI搭載キャンペーン製品:変化する検索行動に広告主が追いつくために
広告のマッチング精度が上がっても、広告主が実際にその恩恵を受けるためには、運用側のツールも変わる必要があった。Googleは「AI Max for Search」「Performance Max」「Demand Gen」といったAI搭載のキャンペーン製品を展開している。
なかでもTaylor氏が特に強調したのが、今、Googleで最も成長が早いAI Max for Searchだ。
従来の検索広告は、あらかじめ想定したキーワードをリストアップして運用する設計が主流だったが、会話型・長文型の検索が増えた現在、そのアプローチでは取りこぼす検索意図が増える。AI Max for Searchは、広告主のランディングページやクリエイティブアセット、目標をもとにGeminiが文脈を読み取り、これまでリーチできていなかった検索にも自動で対応する。
インドのPolicy Bazaarは、自然言語クエリの意図解読にAI Max for Searchを活用した結果、健康保険の販売件数が28%増加し、獲得コストを23%削減した。Performance MaxとDemand Genもそれぞれ、全Googleインベントリの横断配信やビジュアルインベントリでの需要喚起を担い、AI OverviewsやAI Modeへの露出を支援する。
なお、オーガニックでの検索結果は、広告ビジネスの影響を受けるか?という懸念に対して、Taylor氏は「検索チームと広告チームは完全に独立しており、広告ビジネスがオーガニック検索の結果に影響を与えることはない」と説明。
「AI OverviewsやAI Modeにおいても、それは変わりません。Googleの北極星は、ユーザーにとって最も正確で信頼できる情報を提供することです」(Taylor氏)
クリエイティブの民主化:Geminiが広告制作のコストと時間を変える
クリエイティブ制作の分野では、画像生成モデル「Imagen 3(Nano Banana Pro)」や動画生成モデル「Veo 3」が、Google Ads Studioに統合された。2025年には、広告主によって作成されたAI生成アセットが前年比で3倍に増加している。
