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MarkeZine Day 2026 Online

MarkeZine Day 2026 Spring

アサヒビールはなぜ「お客様中心」をやり切れるのか?N=1を戦略に変える「消費者インサイト部」の進化

 アサヒビールは、いかに「消費者インサイト」をマーケティング戦略に昇華させているのか。3月に開催されたMarkeZine Day 2026 Springには、「全社のエンジン」となり、お客様中心のマーケティングを強力に推進している同社 消費者インサイト部の江尻昌弘氏、塚田純子氏が登壇。アサヒビールのマーケティング改革に併走するインサイト・ピークス代表の米田恵美子氏のモデレートのもと、単なるリサーチに留まらず、ビジネスを動かすインテリジェンスを全社に実装させる取り組みの詳細が明かされた。

アサヒビールの「消費者インサイト部」が遂げてきた進化

米田:私はこの7年ほど、ずっと併走してアサヒビールさんのマーケティングをご支援してきました。いまアサヒビールでは「お客様中心のマーケティング」を実現するために、本当にすごい改革が行われています。今日はそれを横で見てきた私がモデレーターを務める形で、消費者インサイト部の江尻さん・塚田さんと一緒に、改革のエッセンスを凝縮してご紹介できればと思います。

【左】株式会社インサイト・ピークス代表取締役社長 米田 恵美子氏【中央】アサヒビール株式会社 マーケティング本部 消費者インサイト部長 江尻 昌弘氏【右】同社 同本部 消費者インサイト担当副部長 塚田 純子氏
【左】株式会社インサイト・ピークス 代表取締役社長 米田 恵美子氏
【中央】アサヒビール株式会社 マーケティング本部 消費者インサイト部長 江尻 昌弘氏
【右】同社 同本部 消費者インサイト担当副部長 塚田 純子氏

 さて、最初にことの経緯を少しご説明させてください。私がアサヒビールさんのご支援に入ったのは、松山さん(現社長)がマーケティング本部長としてアサヒビールに入ったときにお声がけいただいたのがきっかけです。「いまあるリサーチ室をP&GのCMKみたいな組織に変革したい」というのが松山さんからのオーダーでした。

 CMK(Consumer Market Knowledge)は私がP&G時代に所属していた組織で、今はA&Iという部署に名称が変わっていますが、組織の役割は変わっていないようです。

A&Iの役割は、消費者と市場の理解をもとにビジネス戦略の策定をリードし、マルチファンクションチームと一丸となって戦略から導かれるアクションの実行を推進していくこと。P&Gの企業戦略である『コンシューマー・イズ・ボス』を体現する組織であるA&Iは、未来の消費者や市場の姿を描いて、成長エンジンと課題を明確化し、進むべき方向にビジネスチームを導きます(出典:P&G Japan消費者市場戦略本部

 つまり、CMKは単にリサーチを担う組織ではなく、リサーチから出てくる内容を戦略に結びつけるための役割を担う組織なんですね。実際に改革を進める中で、アサヒビールでは2022年に「消費者インサイト室」が設立され、2025年に「消費者インサイト部」に昇格しています。

 では、消費者インサイト部がこの数年間でどのような進化を遂げてきたか、江尻さんからご紹介いただけますか。

江尻:元々は消費者・市場リサーチの専門組織として設立されたチームがあり、そこにはリサーチのスキルを持つ社員が揃っていました。ですが、リサーチはあくまでも“手段”の一つに過ぎません「リサーチそのものが組織の役割」になっている状態から脱却し、「リサーチを手段として得た情報を“インテリジェンス”に変え、社内に共有することでマーケティングを推進する役割」へと変革したのが、大きなポイントだったと思います。

 現在、消費者インサイト部がメインで担っている役割は「1.お客様をど真ん中においたマーケティングを全社で推進する」「2.リサーチの社内専門家」の大きく2つです。ここで重要なのは、お客様を中心に置いていること。アサヒビールでは「お客様中心」が全社の大原則となっています。ですから、我々の役割をより正確に言葉にすると「お客様中心のマーケティングを、リサーチの社内専門家として支えること」となります。

「下請けリサーチ」からの脱却、最大の成功要因は「お客様中心」マインドの定着

米田:私もこの関係図はとても大事だと思っています。というのも、従来の在り方だと、「リサーチ組織=リサーチの下請」のようになってしまいがちですよね。一方で、いまの消費者インサイト部は各所と対等な関係を前提にできており、ブランドマネージャーだけでなく、ときには本部長や社長たちとも対等に話をすることができていると感じます。

 塚田さんは、変革の渦中にいたメンバーの一人です。現場ではどのような変化がありましたか?

塚田:リサーチ室だった頃は、何か課題が発生したときに要請され、我々が課題を解決しに行くといった動き方をしていました。ですが現在は、課題を自ら見つけに行っています。課題の発見・抽出から担うようになったのが、現場目線では一番大きな変化だと思います。

江尻:いま思ったのですが、以前は「リサーチ」が真ん中にあったのかもしれませんね。リサーチそれ自体を起点にし、案件を受ける/受けないというコミュニケーションをしていました。そうではなく「お客様」を中心に置いたことで、今のような組織間の関係性やマインドを作れているのではないかと考えます。

左が従来のリサーチ室とリサーチの在り方、右が現在の「お客様」を中心に置いた組織とリサーチの在り方
左が従来のリサーチ室とリサーチの在り方、右が現在の「お客様」を中心に置いた組織とリサーチの在り方

米田:「お客様中心」というのはアサヒビールさんが、ずっとずっと言ってこられたことです。それがちゃんと組織にマインドとして定着している。これは素晴らしいことだと思います。

次のページ
消費者インサイト部の3つの業務、アサヒビールのイノベーションゲートとは?

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/50555

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