4年後のロンドンに向けて、広告界はどう動く?
8月24日夜、北京五輪の閉会式が行われた。全体としては、「まあまあ」といったところが正直なところだろう。北島の平泳ぎで盛り上がり、最後は女子ソフトが決めてくれた。が、一方で、もっとも人気があり、プロ産業も確立している「野球」と「サッカー」の惨敗があった。とくに星野JAPANの惨状は、国民全員の心を寒からしめた。盛夏がこれで一気に冷夏になったような観すらある。反町JAPANの情けない戦い方は、おかげで引き立て役ナンバー1の地位を明け渡すことができたようだ。
競技に関して、それぞれの競技団体はこれから結果を総括して、4年後への準備にとりかかるだろう。
ではビジネスは?
まず、TV各局の視聴率が総括される。これらは当然、4年後の売り上げに直結する実績数字になる。その数字をもとに、TV局や広告代理店の営業による、今大会の番組スポンサーへの説明と分析が行われる。「高い買い物」をしたクライアントもいれば、逆に思わぬ拾い物をしたところもある。スポーツの真髄がライブである以上、蓋を開けてみなければ結果は分からない。
スポーツマーケティングは「権利」を売買するビジネスだ。その権利は、これから起こる出来事(イベント)に関するものだから、吉凶は常につきまとう。それが宿命だ。シドニー大会では、米国のTV局がスポンサーに視聴率保証をして話題になった。最低視聴率に達しなかったので、自社のCM枠を事後に無償で提供したのだ。随分危険な話である。TV局や代理店からすると、「余計なことをしてくれた」と思ったろう。幸い、この動きが米国外に波及したという話は聞かない。
現段階で今大会の「五輪ビジネス」の詳細を分析するのは無理だが、筆者の危惧を1つだけ披露してこの連載を閉じよう。