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ビジネスマンのための必読オンラインマーケティング塾

第7回 ビジネスとWebのギャップをシックスシグマで埋める 後編


顧客要求の定義

 さて、このSIPOCダイアグラムに対して、顧客の要求をあてはめてみましょう。顧客要求を把握するには、苦情対応システム、CRM(Customer Relationship Management)やSFA(Sales Force Automation)などに蓄積されたデータを分析することがベストです。シックスシグマ活動においては、こうしたシステムを総合して「VOC(Voice of Customer、顧客の声)システム」と呼びます。 

 先のA社を例にすると、まず顧客はできあがったWebサイトの品質が自分たちの要求を満たしているかどうかを問題とするでしょう。これを「アウトプット要求」と呼びます。しかし、顧客が満足するかどうかはアウトプット要求に対する満足度のみで決まるわけではありません。アウトプットが提供されるサービスの過程においても顧客満足を左右するポイントはあるはずです。

 例えば、要件定義の際にA社の担当者が自分たちの要求をなかなか理解してくれなかったり、修正依頼をしたのにまったく反映されなかったり―といった問題があれば、顧客企業の満足度は下がるでしょう。こうしたサービス提供プロセスにおける顧客の要求を「サービス要求」と呼びます。

 これを先のSIPOCダイアグラムと関係付けて描くと、以下のような図になります。

 アウトプット要求が満たされない場合は、サービスを提供する企業(例ではA社)もすぐに自分たちの問題に気づきます。しかし、サービス要求を満たしていない場合には、なかなか自社の問題に気づかないこともあるでしょう。その場合には、「VOCシステム」による管理や分析が可能な環境になっているかどうかで、問題発見にかかるコストも大きく違ってきます。最悪の場合、顧客からのクレームが増える一方で、なぜクレームが増えているのかという原因を見つける手立てがなく、事業が危機に追い込まれるということもありえるでしょう。

 また、コア・プロセスと顧客要求を突き合わせてみることで、顧客の要求に対応する価値提供のプロセスが自社に存在しないことが明白になるかもしれません。上の図ではサービス要求の各項目がSIPOCダイアグラムの各プロセスブロックに対応していますが、実際にはサービス要求を満たすためのプロセスがそもそも存在していなかったり、プロセスが複雑すぎるためにサービス要求を満たせない状況になっていたり、ということもあるでしょう。 

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科学的手法であるシックスシグマ

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/02/09 11:28 https://markezine.jp/article/detail/538

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