ニコニコ動画を運営するドワンゴは4日、都内で次期バージョン「ニコニコ動画(ββ)を発表する「ニコニコ大会議2008冬」を開催した。
冒頭、小林社長よりニコニコ動画の現状の報告が行われた。2008年12月3日現在、ユーザー数は1029万人、モバイル会員は275万人、プレミアムユーザー22万7000人に達しているという。金銭面では月に2億円ほどの収入がある一方で支出は3億円に達しており、いまだ毎月1億円の赤字が続く状況となっている。
ニコニコ動画(ββ)の新機能
ニコニコ動画(ββ)で搭載される新機能として、次のものが発表された。
ニコニコチャンネル
ニコニコ動画には、スポンサーによる投稿動画「公式動画」があったが、これを改め、「ニコニコチャンネル」を開設する。公式動画にニコニコミュニティの機能を付加したしたもので、コンテンツホルダーは、動画を通じたユーザーとのコミュニケーションが可能になる。動画を見るユーザーのアクセスコントロール(場を荒らすユーザーの排除)も行えるため、荒らし行為なども防げるという。
参加企業として121社126チャンネルが決定しており、この中にはアニメ製作会社やTV局によるものも含まれる。チャンネルによっては有料制となり、それに見合ったコンテンツが提供される見込みになっている。
ユーザー生放送
これまで行われてきた運営による「ニコニコ生放送」をユーザー自身が行う、「ユーザー生放送」機能が提供される。ユーザーはWebカメラさえあれば生放送を行うことができ、動画をリアルタイムで配信することが可能になる。動画プレイヤー左上の「運営コメント」機能や、ニコニコ動画内の他の動画の再生など、ニコニコ動画ならではの機能も使うことができる。
ユーザー生放送は1コミュニティにつき1つ配信できる。公開範囲はコミュニティ内だけでなく全ユーザーに対しても可能だが、同時視聴ユーザー数はコミュニティの規模に応じる。また、最大で30分間の配信、最大同時配信数50番組という制約がある。
ニコニコ広場
24時間全員が参加できる動画スペースとして「ニコニコ広場」が設置される。ここでは、参加者のメッセージが常に流されており、数十万人規模のリアルタイムなコミュニケーションが展開される。広場内では、今配信中の生放送や、運営からのお知らせなどの情報が表示され、生放送会場に移動することもできる。
この機能について、大会議では「これまでWebのサービスは1対1や、1対多ばかりだったが、多人数が集まってわいわい騒ぐという新しい形を実現する」という説明がされた。例えばニコ割(いわゆる時報)が流れたときや、地震が起きたときなどにニコニコ広場にアクセスすることで、その感想や意見を多くの人と共有できるようになるという。
ニコニ広告
ニコニ広告は、自分の動画、あるいは他人がアップした動画を動画検索結果の上部に表示させる機能。表示させるためにはニコニコポイントを消費する必要があり、どの動画が優先的に表示されるかは消費されたポイント数に応じて調整されるという。また、多数ポイントを消費したユーザーは動画の一部で「提供者」として紹介される、といった機能になっている。
基本機能の強化
プレミアム会員の機能強化として「マイリスト数無制限化」が実施される。また、投稿動画のビットレートも1Mbpsに緩和され、アップロードファイルサイズも100Mまで可能になる。
その他ではニコニコミュニティ内の機能が改善される。引用動画の元コメント表示、メンバーのNGといった作業を複数の人が行えるようになる共同作業機能、ランキングやWatchページに表示された動画にコミュニティが表示される出身コミュニティ機能などが実装される。
ニコニコ動画(冬)
これらββの機能は、12月5日公開を予定していたが開発が間に合わなかったため、多くの機能は12月12日「ニコニコ動画2周年の日」にリリースが予定されている。そして、このタイミングで「ニコニコ動画(ββ)」にバージョンアップされる。
それまでの期間は「ニコニコ動画(冬)」という名称で運営されるが、いくつかの機能は、この間にも随時投入される予定となっている。
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