コンピュータ・リテラシーに年代差は見られない
NTTデータ経営研究所は、60歳以上の高齢者を対象にパソコンやインターネットの利用動向調査を行った。9月に行われた調査では、パソコンを所有しているあらゆる年代1,064人(男性718人、女性346人)から有効回答を得ており、そのうち60歳以上の597人のデータを中心に比較・分析している。
その結果、コンピュータ・リテラシーレベルについれはいずれの年代でも高く、60歳以上は他の年代を比較すると低いといえるが大きな差異は見当たらなかった。
60歳以上の高齢者におけるパソコンの普及実態を把握するため、周囲におけるパソコンの所有率について尋ねたところ、「周囲の半数以上がパソコンを所有している」という回答が7割を超えた。こうしたパソコンの普及度もリテラシーの向上に大きな影響を与えているようだ。
また、日常生活におけるパソコンの使用頻度については、60歳以上・未満において「毎日」と回答した割合が、それぞれ全体の94.8%と95.5%。ほかの年代同様、60歳以上の高齢者にとってパソコンは毎日の生活における必需品となっている。
高齢者が重視するコミュニケーション手段とは
パソコンの主な利用用途については、60歳以上・未満の多数が「趣味や娯楽」の充実のためのと回答。60歳以上では、住所録や家計簿、地域活動にも積極的にパソコンを利用しており、使用ソフトでは「電子メール」の利用が「ウェブブラウザ」を上回っている。地域とのつながりを意識している60歳以上の高齢者にとって、コミュニケーション手段としての「電子メール」、文章や手紙でのコミュニケーションを図る上で便利な「ワープロ」や「年賀状・宛名作成」といったソフトを使用している傾向が強くうかがえる。
インターネットの利用用途については、高齢者も積極的に趣味や生活などの情報検索に活用しており、「オンラインショッピング」の利用度も高くなっている。また、資産運用を目的とした「オンライン証券等取引」の利用は60歳未満を大きく上回る結果となった。
コミュニティ系においては、60歳以上の高齢者は「ブログ」、「SNS」、「掲示板・チャット」といったコミュニティサイトの利用は割合低くなっている。しかし、日常のコミュニケーション手段として電子メールが定着していることを考えれば、地域活動や趣味の交流を目的としたコミュニティサイトの利用が今後普及拡大していく可能性があると同調査では分析している。
公的機関のネットサービスを大いに活用
60歳以上の高齢者は60歳未満に比べ、公的機関が提供するインターネットサービスを積極的に活用している。これまで利用したことのあるサービスでは「省庁の行政情報検索」、「 e-Tax / eLTAX(税金の電子申告・納付)」、「図書館の利用申請」などがあがっている。今後の利用については、「パスポートの申請」、「許認可の申請」、「地方自治体への申請」、「医療サービス」、「公的施設の利用申請」、「住基ネット」などの要望が高くなっている。
このように高齢者のパソコン利用は多岐にわたっている一方、60歳以上の高齢者の半数近くが「文字サイズを大きくする」機能を利用しており、タッチパネル式入力や音声入力などの補助機能を使用したいという要望を持っている。年代によってコンピュータ・リテラシーに差がなくなりつつあるとはいえ、今後さらに使いやすい機器やサービスの提供が課題となりそうだ。
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