薬の「飲み残し」「飲み忘れ」は7割以上
ファイザーは、処方薬の正しい服用方法についての認識や理解、実際の服用状況についての実態を把握するため、2008年11月30日に全国47都道府県の男女9400人(各都道府県 男女 20代、30代、40代、50代以上/各25人、計200人)を対象に、インターネット調査を実施した。
「処方された薬を飲みきれずに、余らせることはあるか」という質問については、「よくある」(23.2%)と「たまにある」(49.8%)を合わせると、薬を最後まで飲み切れていない人は全体の7割以上。その一方で、「通常、自身の服薬コンプライアンス(医師の指示を守って正しく薬を服用すること)は良好だと思うか」とたずねたところ、全体の79.7%が「良好だと思う」と回答しており、自分はきちんと処方薬を服用できていると認識している人が多いことがわかった。
また、薬の「飲み残し」と同じくらい多いのが「飲み忘れ」で、薬を飲み忘れたことが「よくある」と回答した人は9.6%、「たまにある」は61.9%と、全体の約7割が処方薬を飲み忘れた経験があると回答。飲み忘れの多い時間帯は、「昼」が53.6%と最も多く、忙しい日中の飲み忘れが目立つ結果となった。飲み忘れの理由については、「うっかり忘れてしまう」が52.0%と過半数を占めており、この“うっかり忘れ”は、年代が高くなるにつれて増加する傾向が見られた。
自己判断による服用中止の危険性
「処方された薬を、途中で服用するのをやめたことがあるか」という質問に対しては、「よくある」(12.5%)と「たまにある」(51.3%)を合わせると全体の6割以上に達しており、全体のおよそ4人に1人が自己判断で用量を調節して服用した経験を持っている。服用中断の理由としては、「症状が改善されたから」と回答する人が最も多く、処方薬の用量を調節した理由でも、同じ理由をあげる人が51.6%となっている。
また、抗生物質・抗菌薬を処方されたことがある7,326人に対して、「抗生物質、または抗菌薬の服用を途中でやめたことがあるか」をたずねたところ、40.0%が「ある」と回答。その理由については、81.6%が「症状が改善されたから」と回答しており、ここでも、自分で症状を判断して服用を中断している人が多いことが明らかになった。
「処方された抗生物質、または抗菌薬の服用を途中でやめたりすると、薬の効きが悪くなり、治療が困難になる恐れがあることを知っているか」と全体にたずねたところ、48.0%の人が「知っている」と回答。年代別に見ると、50代以上では「知っている」割合が55.4%であるのに対して、20代では37.1%となっており、特に若い世代に耐性菌のリスクについての知識が不足している傾向が見られた。
また、実際に抗生物質・抗菌薬を余らせたことがある人の41.6%が、「保存しておき、同じ症状が出た時に再度使う」と回答。抗生物質・抗菌薬の自己判断による服用は、耐性菌発生リスクを伴うために大変危険であるにも関わらず、4割以上が服用方法に誤った認識を持っていることが明らかになった。
今回の調査結果について、東北大学の渡辺 彰教授は、「今回の調査では、抗生物質・抗菌薬を処方された方のうち、4割が服用中断を経験している。自己判断による服用中断は殺菌しきれなかった病原菌が耐性菌化し、結果的に治療が困難になる恐れがある。薬を処方する医師は、患者さんの服薬状況をチェックし、薬を飲む意義についてしっかりと理解してもらえるようにコミュニケーションを重ねていくことで、正しく薬を服用する重要性を啓発していくことが必要」とコメントしている。
【関連記事】
・コンビニやスーパーでの医薬品購入、6割以上の女性が「利用したい」【薬事法改正・女性1000人アンケート】
・急成長のジェネリック薬業界、主要企業44社の売上は前年比14%の3480億円
・保健同人社、飲み合わせからジェネリック薬との価格差もチェックできる「お薬検索」スタート
・ネットで処方薬について調べる人、半数を超える 【薬と病院1000人調査】