帝国データバンクは、2009年度の雇用に関する企業の意識について2月に調査を行い、1万658社から有効回答を得た。2009年度(2009年4月~2010年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について、「増加する(見込み含む)」と回答した企業は11.2%にとどまった一方、「採用予定なし」は45.9%に達し、過去4回の調査と比較しても企業の採用意欲は大幅に低下している。
こうした状況の中、雇用環境の改善策として浮上してきた「ワークシェアリング」については、「推進すべきと思う」と回答した企業は37.8%、「推進すべきと思わない」は26.6%で、推進肯定派が上回った。実際の取り組みについては、すでに導入している企業は3.3%(347社)、導入の予定や検討を含めた取り組みを行っているのは9.1%(974社)で、「導入の予定はまったくない」とした企業は51.3%(5,470社)と過半数に達している。
また、ワークシェアリングについて、そのメリットとデメリットをたずねたところ、メリットでは「雇用を確保し企業としての社会的責任が果たせる」、デメリットでは「従業員の士気が低下する」が最も多かった。
企業からは、「仕事内容によりワークシェアリングを行える職種は限定される」「一時的には効果があるが、士気・帰属意識の低下など将来に禍根を残す可能性が高い」といった見方もある。しかし、「低成長のなかで、いかに個人が充実したライフスタイルを確立するかという視点でワークシェアリング導入の是非を検討していくべき」という声もあり、単なる雇用の問題にとどまらない議論が必要となりそうだ。
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