富裕層の7割が資産減少も、「小遣い変わらず」8割
博報堂が、2008年12月に行った「2008金融危機下の富裕層調査」では、高額納税者110サンプルと、年収3000万以上の世帯、1500万以上3000万未満の世帯500サンプルから個人年収1500万円未満の人を除外した309サンプルに対して分析を行った。
金融危機による保有資産の増減については「減った」と答えた人が66.7%なのに対して、「増えた」人はわずかに1.3%。保有資産の減少割合は「2割まで」とした人が35.4%で最も多く、次いで「3割まで」「5割以上」が続き、ダメージが深いことが明らかになった。
消費意欲については、「変わらない」とした人は57.6%で、「消極的になった」人は37.9%。商品・サービスに対する年間購入金額を1年前と比較したところ、「投資」「貯蓄」が大きく減少、「海外旅行」「宝飾品」「ファッション」などの”ぜいたく品消費”が減っている。逆に、増えたのは、「教育費」「医療費」「国内旅行」で”守りの消費”、”内向き消費”の傾向が見られる。
世帯年収については、1年前と比較してフローは25.9%の人が減少しているものの、変らない人は43.0%、増えた人が29.4%で、全体的に見るとフローはほとんど影響を受けていない。また、1か月に自由に使えるお金(小遣い)を1年前と比較すると「変らない」が81.6%に達している。
富裕層のうち、最もダメージを受けたのは?
今回の調査対象者309名を職業別に分けると、以下の6タイプの職業に分類される。
(1)中小企業の会長 56人
(2)中小企業の役員 49人
(3)個人事業オーナー 27人
(4)大企業のサラリーマン 47人
(5)自営業者 27人
(6)開業医・弁護士 85人
その他 65人
このうち、一番ダメージを受けているのは「中小企業の会長」で、資産が減少し、投資意欲、消費意欲も低下している。「中小企業の役員」「大企業のサラリーマン」は投資意欲が最も低下している一方、消費意欲はあまり変化がない。また、「開業医・弁護士」は消費意欲・投資意欲全般的にも「変化なし」が多く、今回の経済危機の影響が最も少ない層といえる。
個人事業オーナーの投資意欲は高まっている一方、消費意欲は変化なく、自営業者は投資意欲は高まっている一方、消費意 欲は低下している傾向が見られた。また、両者とも特に不動産投資の意欲が高まっている。
今回の調査では、今後の自分達の暮らし向きは「変わらない」と回答している人が7割以上おり、今回の経済危機によって自分の生活に悲観的な見通しを抱く人は少ない傾向にあるものの、「悪くなると思う」(18.1%)が、「良くなると思う」(9.7%)の2倍弱いることから、富裕層にもかなりの温度差が生まれつつあるようだ。
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