ミッション:日本企業の海外進出を高品質のITプラットフォームで支える
インターネットの登場により、ビジネスのグローバル化が進みつつあるといわれる。しかし、それを支えるITプラットフォームを造り、支えるのはやはり“人”だ。日本企業が海外進出を図るとき、逆に外国の企業が日本でビジネスを展開するとき、慣れない外国でITインフラを現地調達するには、さまざまな障壁がある。
Hoster-JPは、インフラ構築技術に加えて現地の協力会社との連携により、新天地を目指す企業を支援してきた。そして近年、その連携ネットワークを強化することを意図して、外国人エンジニアの採用を積極的に進めている。特に同じアジア圏で成長目覚ましい中国との連携は強化の一途にあり、一昨年に中国の学校を卒業した張顕珠さんもその戦略を担う一人として新卒採用された。現在は、Hoster-JPの日本本社に勤務し、ネットワークやサーバーなどのインフラ構築・保守・メンテナンスを担当している。先日は、中国の大連でビジネスを展開する日系企業のお客様に向けたITプラットフォームのBPO(Business Process Outsourcing)システム「Secure BPO」の構築に参加したという。
「中国におけるセキュリティや可用性などの品質を維持したインフラ構築は、技術的な問題以上に、中国人技術者とのコミュニケーションに苦労される場合が多いようです。そこで、Hoster-JPが現地企業と協力して構築したITプラットフォームをそのまま提供し、日本と同等レベルの運用品質で管理することで、安心して中国でのビジネスに集中していただくことを目的としています」
張さんは、このプロジェクトにおいてサーバー構築を担当。現地の協力企業からは十数名が参加し、その責任者との調整に日本側の代表の一人として関わるなど、推進役としての役割も担った。
「技術的なやり取りはもちろんですが、仕事を進める上でのやり方や考え方、商習慣など、中国と日本ではまったく違います。私自身は中国人ですが、社会に出て仕事をするのは日本企業がはじめてという変わり種なので(笑)、中国の仕事の仕方には少々戸惑いがあるのですが、日本人よりは理解できることが多い。つなぎ役という面においては、そこを期待されているのかなと思います」
押しが弱いという日本人に対して、中国人のコミュニケーションはストレートで粘り強い。そんな中で日本側の事情やスジをどのように理解してもらい、お互いにとって最高のパフォーマンスを上げるためにはどうしたらいいのか。
「正直、まだこれが正解だというものは見いだせていないんです。先輩やパートナー企業の方々のやり方を見ながら、試行錯誤して学んでいくしかないのでしょうね。逆に社会人としての経験が浅い分、まっさらな気持ちで日本と中国それぞれの考え方の違いを自分の中に取り込みながら、柔軟に対応していきたいと思っています」
技術的な部分についても、まだまだ仕事をしながら学ぶことも多いと謙遜するが、張さんの採用を直接行った副社長の山田隆史氏は「素直で好奇心が強く、吸収力がすごい。まるで今の中国の勢いを体現しているよう」と太鼓判を押す。
「とにかく仕事が楽しくて仕方がないですね。机上の勉強ばかりじゃ、やっぱりつまらない。ここでは最新の機器で最先端の技術を駆使して仕事ができる。プログラムなどはコードを見て学ぶのが基本だといわれますけど、日本語で話すことも私にとっては勉強の一つですから、ついついあれもこれもと話しかけて、上司や先輩に質問しまくってはうるさがられています(笑)。特にLinuxサーバーに強い先輩の永井さんは憧れの的。早く彼みたいな技術力を身につけたいと思っています」
明るく素直なキャラクターと技術を学ぶことに対するどん欲さ。それが、慣れない日本で、多くの人々との親和性を保ちながら、生き生きと仕事をする秘訣なのだろう。果たして、張さんはどんな一日を送っているのだろうか。(次ページへ続く)