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ホリスティック・マーケティング入門 ~PGMから始めるWOMマーケティング~

第3回 ホリスティック・マーケティング実践例(2) マリエール・Wii・漢検DSのプロモーション戦略


テレビCMでは実現できないことをWebサイトで

 さて、マリエール東海のプロモーションは、ただテレビCMをネットで再視聴するだけのものではありません。PGM構築で重要なのはAISASの最後、「Share」の部分を企業がどのように支援するかなのです。

 マリエール東海の場合、YouTubeと同じように「友達に教える」機能と、「自分のブログに貼る」機能を「Share」として提供しています。

 この2つの「Share」がコミュニケーションプランにおいて、非常に上手だと思います。友達にメールを送ったり、自分のブログに貼り付ける機能としての「Share」は情報共有という観点でも、いわゆるネットワーク効果を生み出す仕掛けとしても大変有効です。

 さらに「このCMに共感できますか?」というアンケートをビデオクリップの最後に表示させています。Yes/Noで回答すると、下の画面にあるように共感率が表示される仕組みです。

 この共感率という感情を「Share」する仕組みは、ビデオクリップを見終わったあとに感じる小さな熱を、本物の「Fever」に変える力を持っていると思います。

 商品にしろサービスにしろ、それまで見向きもしなかった方々に興味を持っていただき、そこから一歩踏み出してもらわなければなりません。そのためには本物の「Fever」が必要なのです。

 人間は、何かを始める時に仲間がいると安心します。それはあえて言うまでもなく、私たちが日頃から感じていることそのものです。結婚するということは、とてもハッピーなことであると同時に、大きな不安も抱えています。

「この人でいいのか?」「今でいいのか?」「この式場でいいのか?」 そんな不安を抱える方々に共感してもらい、一歩前に踏み出してもらう、それはテレビCMだけでは決して実現できないことです。

 このプロモーションの結果は、東海エリアのみでの展開にも関わらず、ブログやSNSで1,000人以上の書き込みがあったそうです。mixiの公式コミュニティでも参加者が1,000人を越えると成功のようですから、1,000人規模の反響が視覚化されたという点では、成功と言えるでしょう。

 しかもこの1,000という数字にはブログが多数含まれていますから、検索エンジン経由の訪問者を考えると、相当数の閲覧者がいただろうと推測できます。

 また、テレビCMとの連動という点では、もうひとつポイントがあります。それはタレントを起用しないことで、ブログに貼り付けられるようにしたことです。今では多くの企業サイトがテレビCMのビデオクリップを公式サイトで閲覧可能にしています。しかしブログに貼り付けられるように<embed>タグなどを公開している企業はまずありません。

 筆者はテレビCMが好きで自分のブログでもよく取り上げるのですが、その時に言及しているテレビCMそのものを、見せて伝えることができないので、残念でなりません。YouTubeにはアップされていたりするのですが、堂々と使うわけにもいきませんから。

 マリエール東海の場合は、「自分のブログに貼り付ける」機能を提供していることからわかるように、ブログに貼り付けてもらうことを想定しながら一連のプロモーションを制作したのでしょう。「タレントを使わない、BGMも使わない」ようにして権利関係への配慮を強く感じます。

 もちろんテレビCMをそのまま配布できれば一番いいのですが、それが難しい場合にどうするか、それを考えるのがホリスティック・マーケティング(テレビやWebサイトなどを含めた総括的なマーケティング)を進める上でのポイントになります。

話題を誘う、任天堂Wiiの巧みなプロモーション

 次は「任天堂Wii」のケースを見てみましょう。

次のページ
「漢検DS」のプロモーションの例

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この記事の著者

河野 武(コウノ タケシ)

1974年7月3日生まれ。立命館大学経済学部卒。コミュニケーション・デザイナー。マーケター。企画屋。
1997年、ニフティ入社。2001年にニフティ退職後、フリーターとして数年過ごし、2004年から2005年までオンライン書店ビーケーワンの専務取締役兼COOを務める。ECサイト初となるトラックバックを導入し、また「入荷お知ら...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/02/09 17:57 https://markezine.jp/article/detail/728

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