AIの回答は「正しい」。でも選ぶ決め手にはならない
大広は、大阪で創業し大阪・東京の両拠点で活動する総合広告会社だ。ダイレクトマーケティングの実践を強みとし、広告を出稿して終わりにするのではなく、顧客獲得からブランド育成・顧客育成までを一貫して支援し、選ばれ続けるブランドを育てることに力を入れてきた。
セッションの冒頭、原田氏はこの大広の特徴を、生成AIがどう説明するかを実演した。ChatGPTに「大広ってどんな会社?」と尋ねると、「博報堂DYグループに属する総合広告会社」「マーケティングやブランドづくりを幅広く支援」「顧客との関係や顧客価値を重視」「大阪に本社」といった説明が返ってくる。事実としては、大きく誤ってはいない。しかし、原田氏はここに一つの壁があると言う。
「回答の内容自体は、そんなに間違っていません。ただ、クライアントが何か課題を抱えて広告会社を探しているときに、この特徴の羅列だけでは『じゃあ大広に頼もう』という決め手にならないでしょう」(大広・原田信宏氏)
株式会社大広 WEDO アカウントプランニング局 AIコンサルタント 原田 信宏氏
約40年間磨いてきたダイレクトマーケティングの実践知や、顧客価値を軸にした関係育成という強みは、AIの回答の中にはなかった。情報として「正しい」ことと、差別化の理由として「選ばれる」ことは別であるというのが、原田氏の指摘だ。「AIO(AI Optimization)」を考える上で、これは避けて通れない課題となっている。
SEO型AIOと、ブランドAIO:「回答に出る」と「らしく語られる」は違う
昨今、多くの企業が関心を寄せるAIOについて、原田氏は二つの側面があると整理する。一つは、AIの回答に出る・引用される・情報源として参照されるための「SEO型AIO」。もう一つが、AIの回答の中で「ブランドらしく」語られ、選ばれる理由を提示するための「ブランドAIO」だ。「SEO型AIOは、ブランドAIOの入口」と原田氏は話す。

さらに原田氏は、ブランドAIOの中にも二つの設計軸があると説明した。一つは、ブランドが伝えたい提供価値をAIに正しく理解させる「ブランドの提供価値AIO」、いわば意味の設計である。もう一つは、AIの登場によってカスタマージャーニー自体が変わりつつある中で、AIを含めた顧客接点をどう再設計するかという「ブランドコミュニケーションAIO」、こちらは体験の設計と言える。以降、この二つを軸に進んでいく。

