モバイルサイトは飽きられやすい
モバイルサイトを扱う上で、どのようなユーザー層が利用しているかを知っておくことは重要だが、より重要なのは、ユーザー層が持つ属性によって、モバイルサイトがどのように利用されているかという実態を知ることである。
本連載でも触れている通り、モバイルサイトを積極的に利用する層には若年層が多い。学生を中心とした若年層は、基本的に可処分時間が多い。それゆえ若年層が積極的に利用するモバイルサイトは、コミュニケーションやメディアとしてだけでなく、「暇つぶし」として利用される側面も強い。
可処分時間が多く暇つぶしに利用されるということは、それだけモバイルサイトに対して積極的にアクセスしてくるということでもある。こうしたユーザーの属性と利用傾向が何を招きやすいかというと、「飽き」である。モバイルサイトはアクセスの頻度が高いがゆえ、サイトの内容に変化がないと飽きられてしまいやすいのである。
それゆえモバイルコンテンツの世界では、ニーズに合わせたコンテンツを素早く用意することを重視する傾向が強い。現在、コンテンツプロバイダ1社が、1年に数十の有料コンテンツを用意するというケースも珍しくないのだが、これにはニーズの多様化に応えるだけでなく、ユーザーの「飽き」による流出を防ぐため、他の選択肢を用意するという側面もあるのだ。
「飽き」を防ぐにはサイトに変化を与える
では、ユーザーの飽きを防ぐにはどうすればよいかというと、とにかくサイト内に変化を与えるということに尽きる。どんなによくできたコンテンツを用意しても、中身が変化しなければ飽きを招いてしまう。いかにサイト内で変化を与えていくかが、重要になってくるといえるだろう。
「変化」を重視しているという意味では、モバイルサイトのヘビー層が利用していると考えられる「モバゲータウン」が典型的な例といえるだろう。モバゲータウンは当初から、Flashのミニゲームを毎週追加しており、これによって同じゲームをずっと遊び続けるという「飽き」から解放され、毎週新しいゲームが遊べるという新鮮さを受けることができる。またゲームの強化だけでもユーザーの飽きを招くことから、小説、音楽、イラスト、テレビ実況、ブックマークといったように、次々と新しい機能を取り入れていくことで、ユーザーに飽きを与えないよう工夫をしているのが理解できる。
無論、モバゲータウンのように多数のコンテンツを頻繁に用意するのは、予算的に困難というケースが大半であろう。だが画面上に何らかの変化があるだけでも、ユーザーにとっては新鮮さがあるものだ。例えば日替わりの占いを掲載する、スタッフの一言が入るなど、ちょっとした変化があるだけでも、サイトに対するユーザーの印象は大きく変わることになるのだ。
単発のプロモーションにモバイルサイトを利用するというのであれば話は別だが、モバイルのユーザーを継続的なアクセスと成果に結びつけたいというのであれば、「飽き」に対する対処が必要であるということはぜひ覚えておきたい。