あなたも一度は利用したことがあるのではないだろうか。2005年時点でネットカフェは、全国に約3,000店、約2,000億円の市場規模に成長している。今後も市場は順調に推移し、2015年には約5,400店舗、約4,000億円にまでその規模が拡大すると予想されている(日本複合カフェ協会調べ)。大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、このネットカフェ市場の拡大に着目し、ネットカフェのパソコンを広告媒体とした広告の新サービスを、2007年4月より、開始した。
DNPは、ネットカフェ店内の多数のパソコンを統一的にコントロールし、広告用の媒体とし、利用者向けに訴求効果の高い広告を配信するシステムを開発した。このシステムは、DNPオリジナルのPCグリッドシステム『AD-POWERs®(エイディーパワーズ)』を応用している。具体的には、LANに接続されたすべてのパソコンをコントロールし、個室などで利用するパソコン画面上の細長いウィンドウに、個別に広告や店舗メッセージを配信。また共有スペースに設置された複数のパソコンを連携して、右端のパソコン画面から左端のパソコン画面まで1つの広告を連動させて配信するなど、一体感のある動きを付けた表示も可能だ。このサービスは、Webサイトのバナー広告とは異なり、ゲームの起動、音楽再生などパソコンの多様な機能を利用でき、生活者とのコミュニケーションを活性化する効果も期待できる。
これにより、広告主はネットカフェ利用者層である10代後半から30代に的を絞った広告の配信が打てる。またアンケートに回答した生活者にその場でサンプルを提供するなど、店舗と広告主の提携キャンペーンにより購買意欲を高める企画も可能。さらに従来のバナー広告がそのまま使用できるため、コンテンツ制作費用を抑えることができるのも利点だ。
一方、ネットカフェは既存の設備のままシステムを導入でき、広告収入を得ることができる。すでに2月24日から、複合カフェ・アプレシオの「銀座店」、「ららぽーと豊洲店」、「新宿ハイジア店」、「八王子店」、「東陽町店」で、サービスを実験的に開始ししており、その後アプレシオの全国90店舗に順次展開する予定だ。実験には、広告主として15社が参加する予定。2007年度に1億円、2009年度までの3年間で15億円の売り上げを見込んでいる。
DNPは今後、広告を掲載するネットカフェの開拓や、広告代理店を通じた広告主の募集を行うとともに、既存の店舗内広告とも連携した総合的な広告サービスを提供していく意向だ。