チャリプラ=NPOを支援するNPO
佐藤氏は過去に学習塾や、インターン支援の会社などを起業し、全て成功に導いている経営者の顔を過去にもっています。そんな佐藤氏に社会起業家としての「すべらない事業のつくりかた」を聞きました。
Q チャリティ・プラットフォームの事業について教えてください
チャリティ・プラットフォームは2007年設立の「NPOを支援するNPO」です。
「何かいいことをしたいけど、どうしていいかわからない」という多くの人々のために、 寄付先として信頼できるNPOを厳選し紹介するNPOのデータベース 「“CHARITY NAVI”(チャリナビ)」を運営しています。
既存NPOに対する助成や経営支援のほか、2008年はNPO創業を希望する個人を支援する「インキュベーション・プログラム」などを実施しました。
年末のチャリティキャンペーン「SayLOVE」では、NPO活動の認知を目指し、企業と共にチャリティキャンペーンを展開しています。
また、「社会貢献をしたいけれど、何から始めたらいいか。」、「○○のようなことをしてみたいけれど、可能か」などという企業の皆様からのお問い合わせに対し、商品や店舗を使ったチャリティの提案の他、社員参加型の社会貢献など、ご要望に合った社会貢献の形を提案して、NPOの支援と認知を広める活動をしています。
Q 立ち上げた理由を教えてください
僕自身は株式会社の経営を行う一方、98年からNPOも設立し、経営してきました。
株式会社と違って、NPOは株式を発行することができません。何か事業を開始しようとしても、スタート資金を集める手段が限られています。
NPOといえども収支バランスを調整しながら事業を継続する必要があるため、NPO経営者にとって資金調達や、資金繰りというお金の問題は深刻です。
いろいろ調べてみると、NPO先進国といわれる欧米諸国にはそういったNPOを「資金面から支援するNPO」というものが数多く存在していました。
せっかくの有意義な活動を行うNPOが資金繰りの問題から、活動を停止せざるを得ない事例をたくさん目にする中で、「NPOを支援するNPO」を設立することは重要な意味があると感じたのです。
Q 過去に手がけていた学習塾やインターン支援について教えてください
自分のことを振り返ると、僕は自分と直接関係ある人からの言葉、自分で直接目にした現象などをもとにして行動してきました。
逆に言うと、どこに市場ニーズがあるかを考え、美しい事業計画を書き、計画を立ててから行動を開始するといった手順を踏まずに衝動的にスタートしてきました。
たとえば学習塾は塾の講師のアルバイトをしていたときに教え子から「高校に上がってもみてほしい」と頼まれたことが直接のきっかけだったし、インターンシップ事業も、僕が就職活動をする際に、一度も働いたことのない会社に「第一志望です。入れてください。」とは頼む気になれず「給料はいらないから一度働かせてほしい」とお願いしたことから始まっています。
拡大したことについては、当時僕と同じように思う人がたくさんいたから、広がったんでしょうね。特にインターンシップ参加を希望する学生はいまだに増え続けています。
計画的というより、結果オーライという感じですね。
Q 本題のNPOですが、そもそもNPOは儲けてもよいのでしょうか?
「儲け」というと語弊があるかもしれませんが、NPOも株式会社と同様、収入の中から支出をしなければつぶれてしまいます。
事務所維持費、印刷費、人件費など少し想像していただくだけでも、NPOにはコストがかかります。このあたりは株式会社と同じです。
制度的にはいろいろ細かい違いもあるのですが、ここでは大きな点だけご紹介します。
【資金調達方法】
・株式会社は株式を発行して投資を受けることができます。
・NPOには株式発行という発想がないので、資金調達が難しいです。
・最近はコミュニティバンクが増えてきたが、まだまだ融資に応じてくれる組織は少ないです。
・株式がないのですから、株式会社ではあり得る保有株式に応じた配当や、売却時におけるキャピタルゲインもNPOにはありません。
【ガバナンスの違い】
・株主は保有株式数に応じて経営に対して発言できます。
・NPOでは拠出金額にかかわらず、正会員は全員1票として扱われます。
【税金の違い】
・NPOへの寄付には税金がかかりませんが、株式会社への寄付は課税されます。(ただし、細かく決められた税法があるので、一概には言えません)
Q 現在までの寄付金額はどのくらいの規模でしょうか?
これまで5000人を超える方から、約11億2000万円のご寄付をいただいております。