エコシステムを作るには?
問題点を見つけ、自己成長できるエコシステムを作るには、ビジネスのゴールに基づいて行動に移せるKPIを設定し、テストから改善を行うプロセス、そしてそれを動かす人と組織が重要であることはわかった。では、エコシステムを作る上でのボトルネックやその対処法にはどんなものがあるのだろう。
安西氏はあくまでも経験からであるがと前置きし「ビジネスの上でPDCAサイクルとよく言いますが、やる気にはなるのですが、1回転して満足してしまうことが多いようです。実際には数回転させないと成長が見えてきません。しっかり計画して、実施して、分析して、最終的に評価しましたというときに、それを必ずシェアすることが重要です。そうすることで、同じような計画を実行するときに、過去の知見を持ち寄りながらやることができます。例えばAとBを比較してどちらかが良かった場合、その要因がわからないテストをしてしまうことがあります。先のCSSniteのバナーは、ボタンの有無とボタンの位置の違いで、評価内容が明確に分かります。これをまったく違うデザインで3種類展開すると、1番いいものが分かっても、その要因がわからず、PDCAが1回で終わって、次につながりません」と解説した。
また、「マス広告に慣れている人は、ウェブ解析のような結果の評価をされることがないので、自分の直感を信じてマーケティングしてきた人も多いです。この場合、マーケティングに問題があった時、評価の数字を受け入れられず、先に進まないということがあります。これは非常にもったいないです」と、ビジネスを判断する立場の人が、分析結果を認識する必要があると指摘した。
マーケティングの費用対効果が注目される中で、ウェブ解析のニーズは高まりそれに携わる人も増えている。いざ分析してみて出てきたデータを前に、組織として柔軟な対応ができるかどうかが、今後のビジネスの1つの鍵となっていくだろう。