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マーケティング・テクノロジーを活用しろ!デジタル・マーケティング道場(AD)

ウェブ解析からビジネスを成長させる
エコシステムを作るには?

テストにより仮説を検証し、改善へつなげる

 ウェブ解析を導入し、指標の設定を行ったとしてもそれを業務サイクルとして運用できなければ意味がない。かといって、サイトの運営自体に費用がかかるし、改善でも費用がかかりるため、手当たりしだい変えていけばいいというものでもない。

 安西氏は、必ず費用対効果を考えてやることが大事だとし、さらに「実はサイト作りは、全て仮説に基づいたものでしかありません。前職は制作ディレクションなどをやっていたのですが、どうしても制作側はリリースするまでがゴールと考え、その先はあまり気にしていないと思うことがありました。『主婦対象だから主婦っぽく、ビジネスマン対象だからそういう雰囲気やメニュー構成で』というのもすべて仮説でしかないのです。仮説を検証するためにはテストが必要です。Webには、ほかのメディアよりも簡単にテストや変更できるなどのメリットがあります。テストはエコシステムを推進していく核になります。自己成長し続けるためには、問題点を見つけてテストをし、改善を加えていくプロセスを続けていくことが必要です」と説明し、プライベートなブログで実際に行ったテストの例を紹介した。

 テストは、ブログの右側にイベント「CSSnite」のバナーを設置し、どれが1番クリックされたかを検証するもの。バナーはA・B・Cの3種類用意し、Aがボタンのないもの、Bがバナーの右下にボタンのあるもの、Cは左下にボタンがある。

左から、A・B・C
左から、A・B・C

 結果はAを基準にした場合、Bが5.65%向上、Cは57.4%も向上したという。安西氏がこのテストの結果についてCSSniteの来場者(サイト制作や運用に携わる人たち)に挙手をしてもらったところ、8割の人がBがクリックされたと回答したという。

 安西氏は「バナー内のボタンの位置だけ見ると、私も右下がいいかなと思っていましたが、サイトの右側にバナーを配置していたので、左側に配置したボタンが、メインのコンテンツに近く、目に入りやすかったのではという新たな仮説が出てきました。何気なく『こっちがいいだろう』と作ってしまう場合も多いので、このようなテストをしないと見えて来ないという例です」と、サイト成長のためのテストの重要性について念を押した。

バナーを配置したのはサイトの右側
バナーを配置したのはサイトの右側

業務サイクルを円滑にする3つのポイント

 指標を設定し、分析とテストから改善を行っていくのは、人と組織。ウェブ解析に基づく業務サイクルを回していく担当者には、どんなスキルが必要なのだろうか。安西氏は前職で、仕組みや指標を理解したうえで、マーケティング、デザイン、ユーザビリティ、ライティング、そして他部署とのコミュニケーションなど、非常に多くのスキルを必要とされていたが「でも全員がそのスキルを身につける必要はありません。スペシャリストを育てるのは非常に難しいので、組織できっちり取り組むための体制づくりである“ウェブガバナンス”を推進していくことが大切です」と、組織づくりのポイントとして、次の3つを挙げた。

  • Focus:選択と集中
  • People : 適材適所
  • Structure : 仕組み化

 ポイントの1つ目は“Focus:選択と集中”で、何にフォーカスするかを意識すること。2つ目が“People : 適材適所”ということで、ウェブ解析の専任者を配置することをお勧めする(小規模で専任が置けない場合は、各種スキルを分解して複数にで対応したり、一部を外部に任せたりするなどして対応)とした。また「ウェブ解析の担当者が何かを動かすとなると、大きな組織になればなるほどかかわる部署が多くなります。私は前職で多くの部署と関わって仕事を進めたのですが、組織に横串を通す必要がありました。これをボトムアップでやるのは非常に難しく、後ろ盾があると動きやすいです」と、上席の後ろ盾が必要であると指摘する。

 3つ目のポイントは、社内での業務標準化やそのためのレポートの自動化といった“Structure : 仕組み化”だ。安西氏は「社内ポータルにデータをアップするなど、なるべくたくさんの人がデータに触れるように、なるべく最小限の手間で実現をしていくことです。先ほどの、2人がかりで4日間集計をしていたようなお客様の場合は、1人で1日もかからず集計できるようになれば、残りの時間を分析や改善作業にと、効率よく回していけます」と説明した。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

 就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2012/02/28 21:32 https://markezine.jp/article/detail/8776

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