二期連続で最高売上を更新中のトリドールHD、丸亀製麺
AIやデータ活用がビジネスの隅々にまで浸透し、誰もが容易に正解らしきものにアクセスできるようになった現代。効率化の恩恵はたしかに大きい一方で、マーケティングでは「同質化」が早くも問題視されるようになっている。
そんな中、「AIによる効率化」の真逆をいこうとしているのが、国内外で圧倒的な成長を続けるトリドールグループの丸亀製麺だ。トリドールホールディングスと丸亀製麺はともに二期連続で過去最高の売上・事業利益を更新している。

同社のキーサクセスはどこにあるのか――「MarkeZine Day 2026 Spring」に登壇したトリドールホールディングス/丸亀製麺の南雲克明氏は、AI時代だからこそ重要になる「感性」と「主観」、そして「働く人の心」を軸にした最新のマーケティングモデルを明かした。
「競争」から抜け出し、「独占できる市場」を創造する
南雲氏が講演の冒頭で主張したのは、「競争ではなく“市場の創造”が重要である」という考え方。マーケティングに限らず、“競合”を意識するタイミングは多々あるが、南雲氏は競争からの脱却が重要であることを説く。
「知らず知らずのうちに、他社に負けたくない、他社より先に・安くといった競争に陥りがちですが、それでは小さな差しか生み出せません。いかに独占できる市場を創造し、自社でしか得られない顧客価値を創るか――それこそが利益の源泉になるのです」(南雲氏)
丸亀製麺が自社の独自価値、構造優位の源泉としているのは「感動(KANDO)」だ。同社では感動を「五感が揺さぶられ、本能が歓ぶ体験価値」と定義し、食のエンターテインメントを創ろうとしている。丸亀製麺が25年前に誕生した際も、「製麺所×セルフうどん」という、当時の日本にはなかった新しい体験価値を展開することで、独自の市場を切り拓いてきた。
「効率化ももちろん時には必要ですが、効率化と感動がトレードオフになるのであれば、我々は“感動”を選択します。非効率だと指摘されることもありますが、唯一無二の感動体験を提供する“常識の逆張り”が結果として競争を回避し、高い利益を生む優位性につながるのだと信じています」(南雲氏)

丸亀製麺のキーサクセスファクター(1)
顧客に選ばれる独自の価値を創る、磨く、進化させる。これが「競争せず、市場(需要)を創造することにつながる
