ターゲティングへの活用
ウェブ解析データを応用することで、訪問者の属性や行動にあわせてターゲティングしたコンテンツを提供することができる。ターゲティングを行うためのセグメンテーションに活用できるウェブ解析データは、属性データと行動データの2種類があり、属性は、個人や法人、男性や女性、新規顧客か既存顧客か、などさまざまだ。行動データはほぼウェブ解析で捉えられるため、キャンペーンや検索ワードなど、何をきっかけに訪問したのか、どのページを遷移したのかなどでセグメントしていく。
セグメンテーションを使って何らかの対応をする簡単な考え方として、2つの属性を掛け合わせて傾向を見て、適切な対応するという手法がある。例えば、ある商品を購入している人に男性が多いなら、そのプロモーションは男性を意識したものにしたり、あるリスティング広告経由の訪問は、週末が多いのであれば週末にその広告の入札額を上げてより多くの顧客を呼び込むなどが考えられる。
メールマーケティングへの活用
ターゲティングしたコンテンツ施策は、サイト内だけではなく、eメールでの販促にも有効だ。商品を購入した人もいれば、同じ商品をカートに入れたまま離脱してしまう人もいる。こうした行動データをもとにセグメントしてメール配信システムにつなげる。例えば、iPodを買った人にはipodのケース、Nintendo DSを買った人には対応ゲームソフトというように関連性のある何かをプロモーションしていく。カートに入れて離脱してしまった人も、興味を持っている可能性が高いので『今週買うと10%オフ』などの割引や特典の情報を伝えることで、再訪問を促してコンバージョンを増やせる可能性がある。アメリカでは、ケーブルショッピングネットワークが、メールのターゲティングで四半期あたりの売上を200%強増やすことに成功した事例もあった。
オフラインデータとの統合
これまで説明した施策は、レベル2の「改善」やレベル3の「自動化」であったが、ここで紹介するオフラインデータの統合施策は、オンライン以外の顧客接点で取得したデータと統合すレベル4の「拡張」だ。
当然ながらビジネスにおけるデータは、Webだけから取得するわけではない。Eコマースサイトは、基本的にWebサイトで購入まで完結するので、何人来て、何を買って、いくら使ったというところまでは把握できるものの、キャンセルや返品、商品ごとの利益などの情報はウェブ解析データからは見えない。
リード獲得サイトの場合、サイトに訪問して資料請求や問い合わせした内容は取得できるが、その先にオフラインでの提案や購入がある。このように、ビジネス全体の情報を分析しないとWebの施策が成功したかどうかはわからない。このため、オフラインのデータとウェブ解析データを連結させることは非常に重要だ。
リード獲得サイトに関しては、通常キャンペーンを打ってリードを取るまではマーケターが担当し、その後の商談・成約は営業が担当するという、組織の分断がある場合が多い。双方のデータを関連付けることができれば、リード単価や商談獲得単価、成約獲得単価といった指標を設定でき、最終的にはキャンペーンの投資効果まで見ることができるようだ。