そもそもソーシャルメディアとは?
そもそも、「ソーシャルメディア」という言葉自体が非常に抽象度の高い言葉であるため、これからソーシャルメディアマーケティングについて論じる前に、ある程度の定義理解をしておきたい。そこで、「ソーシャルメディア」の一つであるWikipediaを参照してみると、次のように定義されている。
Social media is media designed to be disseminated through social interaction, created using highly accessible and scalable publishing techniques.
ソーシャルメディアとは、非常にアクセシブルでスケーラブルな編集技術を活用することで、ソーシャルインターラクション(社交的対話)を通じ、情報が拡散されるように設計されているメディアである
では、ソーシャルメディアにはどのようなものがあるのだろうか? ここでもWikipediaでのカテゴライズが参考となるので、アメリカと日本の代表的なものを、それぞれ下記にまとめてみた。
アメリカの主なソーシャルメディア(出展:Wikipedia, the free encyclopedia)
Communication
- Blogs: Blogger, LiveJournal, Open Diary, TypePad, WordPress, Vox, ExpressionEngine, Xanga
- Micro-blogging / Presence applications: Twitter, Plurk, Tumblr, Jaiku, fmylife
- Social networking: Bebo, BigTent, Facebook, LinkedIn, MySpace, Orkut, Skyrock, Hi5, Ning, Elgg
Collaboration
- Wikis: Wikipedia, PBwiki, wetpaint
- Social bookmarking (or social tagging): Delicious, StumbleUpon, Google Reader, CiteULike
- Social news: Digg, Mixx, Reddit, NowPublic
- Opinion sites: epinions, Yelp
Multimedia
- Photo sharing: Flickr, Zooomr, Photobucket, SmugMug, Picasa
- Video sharing: YouTube, Vimeo, sevenload
- Livecasting: Ustream.tv, Justin.tv, Stickam, Skype
- Audio and Music Sharing: imeem, The Hype Machine, Last.fm, ccMixter
Reviews and Opinions
- Product Reviews: epinions.com, MouthShut.com
- Business Reviews: yelp.com
- Community Q&A: Yahoo! Answers, WikiAnswers, Askville, Google Answers
Entertainment
- Virtual worlds: Second Life, The Sims Online, Forterra
- Game sharing: Miniclip, Kongregate
日本の主なソーシャルメディア
Communication
- Blogs: Ameba, Livedoor, FC2 etc
- Micro-blogging: Twitter
- Social networking: mixi, gree, モバゲー, Facebook
Collaboration
- Wikis: Wikipedia
- Opinion sites: 2ちゃんねる
Multimedia
- Video sharing: YouTube
Reviews and Opinions
- Product Reviews: @Cosme, 価格コム
- Community Q&A: OK Wave, 教えてgoo, Yahoo掲示板
「3メディア」内での立ち位置から見る、ソーシャルメディアの意味
ここ最近語られることが増えた「3メディアフレームワーク」で、ソーシャルメディアの立ち位置を確認してみよう(図表2)。自社メディア、広告メディアに対してオーバーラップする部分もあるが、基本的には、ソーシャルメディアはWikipediaの定義にもあるように、ユーザー同士がソーシャルスペース上でインタラクティブに会話する場であり、そこで交わされる会話としての口コミはオーガニック(自然発生)なものであるため、企業が情報をコントロールすることが困難な場であると言える。

また、ソーシャルメディアを広告スペースとして利用する場合においても、メディア運営者のインターラクション(干渉)が強すぎると、やり方によってはソーシャル性が失われるため、本来の意味でのソーシャルメディアとは言えない。
つまるところ、ソーシャルメディア上での口コミは、その定義と性格上、企業がコントロールできる領域ではないことを強く認識しておく必要がある。
では、企業がコントロールできないからといって、企業として何もできないかというと、もちろんそういうわけではない。ここでキーとなる考え方は「コントロール」ではなく、「マネジメント」である。ソーシャルメディア上で交わされている会話を傾聴し、「企業としてどのようにその声に対応していくか」というプロセス自体を構築し、マネジメントしていくという発想である(どのようにマネジメントしていけばいいか、その方法論については次回以降で後述していく)。
本稿ではまず、これまでの口コミマーケティングと呼ばれるものの課題を明確にしたうえで、本来あるべき口コミマーケティングについて詳説していこう。