ニコニコ動画が好調だ。2009年10~12月期は前年同期比で売上が約2倍になり、黒字化も見えてきた。躍進を支える要因の1つは、ニコニコ動画モバイルからの有料会員の伸び。この半年間で有料会員数を3倍以上にまで増やしている。ニコニコ動画モバイルは、これからどう化けていくのだろうか。国内有数のサービス運営者が感じているモバイル動画の可能性とは。株式会社ドワンゴ執行役員の川影幸久氏にお話を伺った。【総力特集!どうなる?2010年 モバイルマーケティングの未来】
ニコニコ動画の躍進を支えるニコモバは「実力以上に成長中」
会員数1564万人と日本を代表するWebサービスに成長したニコニコ動画。そのモバイル版であるニコニコ動画モバイル(ニコモバ)も、471万人と順調に会員数を増やしている。
なかでも有料会員数に注目すると、モバイルでの伸びが著しい。全体で65万人の有料会員のうち、約半分に当たる30万人程度がモバイル会員だ。昨年7月のdocomoでのニコニコ生放送のリリースとau公式化・月額課金開始、8月のdocomoでの月額課金開始などが奏功したのだろう。それ以降の会員数の伸びが顕著で、半年間のうちに新規で20万人以上がモバイル経由の有料会員になっている。
上記データは取材当時(2010年2月上旬)のもの。先日行われた「ニコニコ動画(9)全国ツアー ファイナル2Days in 東京」において、現在の会員数は1583万人に、モバイル会員数は476万人、プレミアム会員数は68万人に達していることが発表された。
運営するドワンゴにとっても、この成長は良い意味で計算外。同社執行役員の川影幸久氏も「期待よりよい推移です」と予想以上に好調なことを認めている。
もともと、ニコモバの開発に取り掛かったのは、「everybody & everywhere ニコニコ!」を合言葉に、誰でもどこでもニコニコ動画を楽しめるように環境を整えようとしたから。「PCのサービスをモバイルにも実装しようという流れがようやく回り始めたところ。PCのサブセットとして、ニコニコ動画の機能がニコモバでもきちんと使えるようになってきたばかりです」。企画・開発の組織体制が整い始め、やっと新機能・新コンテンツを計画立ててリリースできるようになってきたと、川影氏は飾らずに明かす。
「インターフェースで使いにくい部分も多いと思うのですが、その割にはユーザーの皆さまには温かい目で見てもらえているという印象ですね。『実力以上に成長中』というのがニコモバの現状だと思っています」
ニコモバで利用者層・利用シーンに広がり

「誰でもどこでもニコニコ動画を体験できるように」という思いのとおり、ニコモバをきっかけに利用者層は拡大しているという。
「確実に10~20代の若い層を取り込めるようになりました。『インターネット接続の中心はモバイル』という層にアピールできたことで、今まで以上に、若い層や動画サイトをあまり使っていなかったライトユーザーにも気軽に楽しめる状態を提供できるようになったのではないでしょうか。30~40代のユーザーに対しても、空き時間を使って動画を見るという使い方を提案できたと思っています」
ユーザー層を広げただけではなく、その利用シーンにも広がりが出てきた。川影氏自身もニコモバでニコニコ動画の利用が増えた1人。「モバイルで見れるようになって、寝転んで見るようになりました。行儀は悪いんですが、ニコ動を見る時間がすごく長くなりましたね。PCで見ようとしても起動時間が長かったり、直感的にすぐ見ることはできません。携帯やiPhoneを使えば、思った時に、どんな場所・どんな姿勢でも見れるじゃないですか」。
場所を選ばず、すぐに使えるという利点から、コアなユーザー層が友達にニコニコ動画を薦めるシーンも増えたのではないかと川影氏は見る。
「『この動画はすごく面白いんだよ』と言うだけではなかなか伝わらないものです。ところが、『こんな感じ』とその場でプレゼンテーションできるようになったわけですから、説得力は大きいのではないでしょうか」
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中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)
ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。
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