SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2026 Spring

総力特集:どうなる2010年?モバイルマーケティングの未来

「ニコモバはまだ本気じゃない」
実力以上に成長中のニコニコ動画モバイルの可能性

モバイル動画を活用したプロモーションの可能性

 SNSやTwitterなどソーシャルメディアの利用が一般にも普及しはじめ、徐々に企業プロモーションを展開するプラットフォームとしても活用されるようになってきた。ニコモバでも、もちろんこうした活用のされ方の可能性を模索している。

 川影氏は最近の注目すべき事例として、先日あるアーティストがニコニコ生放送を使った着うた配信の告知を行ったところ、数分間で千単位の予約があり、dwango.jpへの入会にもつながったという事例を挙げる。こうしたコンテンツが配信されるまでの過程やストーリーを含めて可視化できる点に、動画のマーケティング活用における可能性があると言える。特に最も生活に身近なデバイスであるモバイルの場合、前述のとおりリアルでの口コミやメール、Twitterなど波及効果も期待できるのではないだろうか。

 「例えば家電を買うことを考えても、店頭でのお客からのGoodな質問に、店員がうまく答えてくれたやり取りはすごくいい広告になる。商品情報だけではなくて、作った人の苦労などを人格を伴ったストーリーとして訴えかける。その時に、ほかの誰かに伝えたくなるような要素、つまり映像や情報を『消費』するのではなく、リアルタイムに、あるいは現実感のあるコミュニケーション要素があれば、ニコニコ動画はもちろん、TwitterやFacebookなどにも広まっていくんだと思います。今はTwitterから『話し言葉』のRTで広まっていますが、次世代は動画が気軽にRTされていく時代になるのではないでしょうか」と川影氏は持論を語る。

 また、企業がソーシャルメディアを活用する上で「個人」に注目するべきだとも。ソーシャルメディアで情報を広めていくには、「法人」として取り組むよりも人格を持つ「個人」の方が受け入れられやすい。インパクトのある個人が、インパクトのある情報を動画で配信して、ソーシャルメディアで拡散していける流れをいかに作っていけるかが成功のカギになるとする。

「会社の中の一個人が重要になってくると思うんですよね。個人がブランドを持って、その会社の商品などを発信していくようになる。企業や商品のブランディングだけではなく、会社員『個人のブランディング』を意識しなくてはいけない時代になったと思います」

まだ本気じゃないから伸びしろNo.1

 米国でのPC・モバイルの動画広告市場は、2007年に7億7500万ドルだったものが、2014年には43億ドルに拡大するとの予測もある(参照:eMarketer-Fifty Percent of US Population will Watch Online Video in 2008)。こうした盛り上がりそうな分野が世に現れた過渡期は、「正解」が最も見つけにくい時期だと川影氏は指摘。かといって考え過ぎて歩みを止めるのではなく、まずは動いてみて「これだ」というものを見つけなくてはいけないとした。

 ニコニコ動画のサービス開発方針も、背景にはさまざまな戦略があるものの、打ち手については面白いと思ったもの、やってみたいと思ったものを即実行しようというものだ。「やったことが全部成功する会社はあり得ません。まずはトライアルすること。得られるデータの母数が例え少なくても、比率で見て良いものについては広めていく、悪かったら止めるといった評価基準も探りながら、継続・改良・中止といった決断を早くできる流れを作るのが重要じゃないかなと思います」。同社は先日もニコニコ生放送の出演者と電話で話ができる「ニコニコ電話」のサービスを発表したばかり。今後もその姿勢は変えず、フットワーク軽く対応していく方針だ。

 「モバイル動画の利用者数はまだまだ少ない。だから未来は明るいんです。それだけの伸びしろがあるわけですから。ニコニコ動画モバイルもまだまだ本気じゃない。手前味噌ですけど、だからこそ伸びしろはNo.1だと思っています」

 徐々に本気になってきたというニコモバ。今年はさらに面白いサービスにしていくために、「PCと携帯をどっちも使うともっと面白くなる」サービスなど、新しいライフスタイルが提案できるように進化を進めていく考えだという。

株式会社ドワンゴ
執行役員 川影幸久氏
株式会社ドワンゴ 執行役員 川影幸久氏
写真:谷本夏(スタジオ トラック72)

MarkeZine総力特集!

どうなる?2010年 モバイルマーケティングの未来】 公開中!

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
総力特集:どうなる2010年?モバイルマーケティングの未来連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

中嶋 嘉祐(ナカジマ ヨシヒロ)

ベンチャー2社で事業責任者として上場に向けて貢献するも、ライブドアショック・リーマンショックで未遂に終わる。現在はフリーの事業立ち上げ屋。副業はライター。現在は、MONOistキャリアフォーラム、MONOist転職の編集業務などを手掛けている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2010/02/22 14:30 https://markezine.jp/article/detail/9620

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング