クチコミマーケティングの基本理念を明確に示す
インターネットの普及によって強大なパワーを得たクチコミ(WOM:Word of mouth)だが、その定義や運用の指針について明確に示すものは国内にはなかった。WOMマーケティング協議会では、昨年から会員のべ100人が議論に参加し、プロジェクトメンバー、法人会員・個人会員有志の議論により策定作業を行ってきた。その成果であるガイドラインが、12日に開催された「WOMマーケティングサミット2010」の中で、ガイドライン策定プロジェクトのプロジェクトリーダー 藤代裕之氏によって発表された。
基本理念では、「消費者の利益にならないものは、WOMマーケティングではない」「口コミは自発的なものである。金銭で生み出されない。誰からも強要されず、発信者の自由意思が尊重される」と明確に定義している。
ガイドラインはシンプルに「関係性明示の原則」と「社会啓発の原則」の2原則のみ。事業者はクチコミマーケティングがどのように行われているのかの関係性(原則として金銭、物品、サービスの提供)を消費者に明示し、その実現へ向けて啓発活動を行うことをうたっている。
WOM マーケティングに関するガイドライン
ガイドライン全文は以下のとおり。
<前文>
情報社会の進展に伴い、消費者自身が情報発信するソーシャルメディアが影響力を増している。メディア空間に集積され、再編集された情報は「集合知」として、従来にない知の体系を構築しつつあるが、「知」が社会や消費者にとって有用であるためには、個人の健全で率直な情報発信が妨げられないことが重要となる。このような「知」こそWOMマーケティングの基盤との考えに基づき、WOMマーケティング協議会では基本理念とガイドラインを定め、関係する団体や人々と力を合わせ、ソーシャルメディアの発展に貢献することを目指すこととした。
<WOMマーケティング基本理念>
1. WOMマーケティングに関わるあらゆる人、組織は、正直に、良心に基づいて行動しなければならない。
2. 消費者の利益にならないものは、WOMマーケティングではない。消費者が正しく、多様な情報を得る権利を最大限尊重する。
3. 口コミは自発的なものである。金銭で生み出されない。誰からも強要されず、発信者の自由意思が尊重される。
<WOMマーケティング活動ガイドライン>
1. (関係性明示の原則)WOMマーケティング事業者は、どのような関係性において、WOMマーケティングが成立しているかについて、消費者が理解できるようにしなければならない。関係性とは、原則として金銭、物品、サービスの提供とする。
2. (社会啓発の原則)WOMマーケティング事業者は、1が実現するように必要な啓発活動を行うとする。
【関連記事】
・WOMマーケティング協議会が発足
・WOMマーケティング協議会が米WOMMAと提携
・クチコミという不定形なメディアをマーケティングにどう活かすのか、ガイドライン策定の議論に手ごたえ