Googleがサイト表示速度を検索順位アルゴリズムに組み込むことを示唆
GoogleのMatt Cutts氏がPubCon2009(ラスベガス)にてサイト表示速度を将来のランキングアルゴリズムに加えるという発言から、サイト高速化という技術は脚光を浴びたかのように感じる。
2010年3月、SMX West 2010でGoogleのMaile Ohye氏がランキングアルゴリズムにはまだ組み込んでいないことを発表したが、将来的なところは言及しなかった。ただしGoogleウェブマスターツールにサイトパフォーマンスを測定するツールが組み込まれていたり、Google Toolbarで収集したサイト表示速度をデータベース化していることもあり、将来なんらかの形で利用することは間違いないと考えられる。また、同カンファレンスにて同氏が発言したコメントの中に、表示速度の速いサイトの方がインデクスされる数は多くなるというコメントがあり、これは現時点でも高速サイトがSEOにもたらすメリットがあるということが裏付けられるものである。(2010年5月現在、正式にランキングアルゴリズムに組み込まれたことが発表された)
CSSスプライトによるキーワードのテキスト化
CSSスプライトは前回の記事にある通り、複数の画像を1枚の画像に貼り合わせ、CSSで部分的に出し分けるといった技術だが、SEOにとって大きなメリットもある。
例えば画像を利用したリンクボタンを作成する際、一般的には以下のようなHTMLを記述する。
<a href=”/test.html”><img src=”/img/btn.gif” alt=”転職へGO” /></a>
この場合、「/img/btn.gif」という画像ファイルがリンクボタンとして表示されるが、SEO的にはimgタグのalt属性が解釈されると言われている。
これに対し、CSSスプライトを利用してリンクボタンを作成する場合、例えば以下のようなHTMLコードを記述する。
<a id=”tenshoku” href=”/test.html”>転職へGO</a>
上記のHTMLに対して、ID「#tenshoku」をCSSでボタン画像に差し替える訳だが、「転職へGO」という文字列が、前者がalt属性に対して、後者はHTML文章中の文字列として存在することになる。
一般的にHTML文章中の文字列はalt属性以上の重要性を持つといわれるため、単純にimgタグを利用するよりも効果があると考えられ、画像の内容とテキストの内容がマッチしていればSEOスパムとして扱われる可能性は低く(明らかな偽装目的の隠しテキストはスパム認定されます)、SEOとしても有効に働くと考えられます。
実際にテキストとして扱われるため、重要な見出しとしての価値があればh1やh2などのタグを利用することも可能で、文言中に重要なキーワードが含まれていればstrongタグなどを併用することも出来るため、非常に高い柔軟性を持っているとも言える。
サイト高速化のプライオリティ
サイト高速化はWeb制作に伴う技術とナレッジによるパフォーマンスチューニング技術に過ぎないが、あらゆる数字を底上げする可能性を持っているという点では、Webマーケティング上でも今後重要なカギを握る技術であると言える。当然のことながら、表示速度の速いサイトはカスタマ、ユーザのストレスを軽減するために重要なエッセンスであるからこそ、検索エンジンもまた、サイト表示速度に目を向け、カスタマ、ユーザにとって良いサイトを上位に表示しようとするのであり、あらゆる側面において、Webとして存在する限り表示速度の戦いは避けて通れない。
ただし、サイト高速化はWebサービスにおいて最も重要な要素ではなく、サイト設計や導線設計、そもそもの商品や基本的なSEO等、やるべきこと、改良すべきことは多々存在する。
しかし、CSSスプライト一つに関しても、大型サイトに対して施策を行うことは小さなUI改善を行うよりも難易度も規模も大きくなる。だからこそ、新規サービスを立ち上げる時、大きなリニューアルを行う際など、機会を見つけてスタンダード化しておくことこそが最も重要であり、そうすることによって、永続的にコンバージョンの底上げを行ってくれるものである。
最後に
サイト高速化はフロントエンドの技術であり、フロントエンドの改善は短期的に収益が増加する可能性を多く秘めている。飛躍的に大きな効果を得る可能性は少ないが、高速化施策のいくつかを当たり前のようにやっているだけで、マーケティング上重要ないくつかの数字を底上げする可能性を持っている。
是非、今、自分たちのサイトを見つめ直し、サイト高速化の一歩を踏み出してみてほしい。