SSLの穴を埋めるためにつくられた、より強固なEV SSL
同社が2007年に行った調査によると、67.3%のユーザーがSSLの導入をサイト安全性の確認に使うなど、ユーザーの不安を解消する手段として、SSLには高い信頼が寄せられている。

だが、EV SSL証明書が登場する前のSSLには、ある落とし穴が潜んでいた。
ベリサインのSSLサーバ証明書は、サイト運営会社が実在していること、データがSSL暗号化通信で送受されていることを保証する印として発行される。

一方で、サイト運営会社の実在証明はなく、SSL暗号化通信機能のみに特化する安価なSSLサーバ証明書が出回り始めてしまった。実際「証明書」としての役割が果たされておらず、結果的にはフィッシングサイトでもSSLサーバ証明書を取得できることになり、一見安全なサイトのように見せかけてユーザーを騙す手口が登場する余地を生んでしまったのだとか。
EV SSLを導入すれば、アドレスバーの背景色が緑になり、アドレスバー横にサイトを運営する団体名とその団体を確認(認証)した認証局名が表示されるようになる。

「厳格な認証を受けているサイトであること、なりすましのサイトでないことが一目で分かるようになりました」と成生氏。
視認性がよくなったことによってCVRが向上しやすくなったというが、その理由として、EV SSL導入サイトに対するユーザーの印象を紹介。「セキュリティ意識が高い」という印象を与えることは当然のこととして、「信頼できる」「好感がもてる」といった評価や、「安全を提供している」「お客様を大切にしている」といった企業の姿勢も支持され、そうしたポジティブな声がCVRの改善に貢献するのだと説明した。

申込フォームだけでなく入り口ページにもセキュリティ対策の見える化を
なお、EV SSLを導入するページとしては個人情報を入力する申込フォームだけでなく、トップページやランディングページも適切だ、と成生氏。SEO、リスティング広告などから集客したユーザーに対して、入り口となるページのアドレスバーを緑にし、セキュリティを見える化してアピールすることの重要性を訴えた。
「せっかくセキュリティ対策をしてもユーザーに分からないと意味がない。セキュリティ対策を『見える化』することでお客様を安心させて、信頼を得られるようにしましょう」(成生氏)
セキュリティ対策を「見える化」した成功事例として、最初に紹介されたのは、フラワーギフトのサイトを運営するイーフローラ。
「自分のためではなく贈り物のために使われるサイトですので、購入者と贈られる方、両方の個人情報を入力しないといけません。それだけに『注文情報を大事に扱っていることをお客様にわかっていただきたい』ということで、導入を決めていただきました」(成生氏)

ログイン画面、注文画面にEV SSLを導入することで、一目で安全なサイトだと伝わるようにしたという。
続けて、ライオン、有機野菜販売で有名なオイシックス、ウイルス対策ソフトベンダーのトレンドマイクロといった企業が、EV SSL導入により、着実にWebサイトからのコンバージョンを向上させた成功事例を詳しく解説。
中でもトレンドマイクロは、売上アップのためにさまざまな施策を試してきたが、「購入完了率はこれより上がらない」と頭打ちに悩まされていたという。 そんな折にEV SSLを知り、導入してみたところ、更新完了率で8.4%、購入完了率では0.4%アップという結果が出た。
「いろいろ試しても上がらなくなっていた中、0.4%も上がったのはすごく大きい」とその成果に対する評価は高かったという。
なお、トレンドマイクロはベリサインのSSLサーバ証明書導入済みサイトのみが掲載できる「ベリサイン セキュアドシール」を貼る位置も入念にテストし、最適なポジションを突き止めるなど、サイトの安心感を鍵としたCVR向上に熱心に取り組んでいるようだ。
最後に取り上げられたのは野村證券の事例。これまでは資産運用のノウハウコンテンツページなどにはSSLを適用していなかったが、Googleで検索してコンテンツページから入ってくるユーザーも居ることが分かった。トップページやログインページなどではアドレスバーが緑表示なのに、コンテンツページだけは白地。ユーザーに違和感を抱かせないために、すべてのページでEV SSLを導入したのだという。
終わりに、ネットマーケティングのポテンシャルはまだまだある、と成生氏。ただし、ネット犯罪などのセキュリティ面の不安が成長を阻害しているとし、Webサイトの安全・安心感をユーザーにアピールしてCVRを向上させるために、EV SSLサーバ証明書は有効な手段として更に幅広いサイトにて普及が進んでいくだろうと語った。
守りのセキュリティ対策から攻めのセキュリティ対策へ。発想を切り替えて、今まで以上にセキュリティを重視すべき時期が来ている言えるだろう。