Q.企業の中国進出に際して、マーケティング・リサーチの観点から大事なことは何ですか?
安易な進出をしないことです。特に日系企業は、生産設備での中国や新興国進出が先行した結果、大手であっても事前のリサーチに対する認識が甘く、安易に現地法人を設立し、「そこからなんとかしましょうね」的な企業が多いので。
中国は世界中の企業が狙っている市場なので、国内以上に事前の仮説・検証は重要です。
Q.貴社の事業を競合他社と比較した際、競争優位性はどの点にありますか?
主に次の4点です。
- 豊富な海外ネットワーク
- 新興国に特化し、産業系と消費者系調査の両方を行える
そもそも、新興国の調査ができる企業が少く、弊社だけだと思います。 - 経験値
9年間、新興国に特化して調査を行っているので、過去の経験値は他社に対して相当な参入障壁になると思います。 - 人材
経営者自身がグローバル人材であり、社員も全てグローバル人材です。
Q.今後、日本人がグローバルに活躍するために心がけるべきポイントを教えていただけますか?
そうですね。人と違う事を恐れず、自分と違う人を尊重することでしょうか。また、別の観点で言えば、自分の知っている海外を全てだと思い込まないことだとも思います。
Q.運営している中国人向け日本情報ポータルサイト『JAPAN在線』では、今後どのような展開を考えていますか?
我が国の少子高齢化や人口減少は、さらに顕在化していきます。観光立国の実現は我が国の国家戦略です。特に、経済成長著しい中国からの観光客受け入れは、日本経済への大きなインパクトとなります。
中国人観光客のインバウンド事業は、長期的に収益維持が可能な分野であり、今後、さらに『JAPAN在線』へ経営資源を投資します。中国人観光客にとっての、真に役立つ日本情報ポータルサイトを目指します。

Q.事業をすべらせないために気をつけていることを教えてください。
難しいですね…。事業をしていると心が折れそうになることが、多々あります。そんな時、どれだけ己を信じられるかではないでしょうか。
信念を忘れれば、事業はすぐにすべりはじめます。
Q.今後の目標を教えてください
グローバルビジネスのプラットホームになることです。
インタビューを終えて
近年、今まで「世界の工場」と言われていた中国は、内需の大幅な拡大により「世界の市場」へと急速に変貌を遂げていることは周知の事実だろう。しかし、森辺氏が事業を始めた9年前は、ちょうどその過渡期であったと思う。中国が下請け先から消費市場へと変化していく潮の流れの変化を、いち早く感じ取った森辺氏は自社事業をプロキュアメントからリサーチへ変換し成功させた。自社事業の生業転換を成功させることができたこと自体が、まさに森辺氏のリサーチ力の賜物ではないだろうか。