価格.comのデータをマーケティングに活用
「一番安いショップは?」「新製品の使い勝手は?」液晶テレビやパソコンなどの電化製品を中心に、最安値やクチコミ情報を求めて多くのユーザーがアクセスする株式会社カカクコムの『価格.com』。最安値はショップによって逐次更新され、製品ごとの掲示板ではユーザーが真剣にクチコミ情報を交換し合う、そんなタイムリーでホットな情報に充ち満ちているため、買い物の前にサイトを訪れるユーザーの数は膨大だ。
実は2009年11月から同社は、企業のマーケター向けの「トレンドサーチ」というサービスを提供している。価格.comに蓄えられたPV、価格、クチコミなどに関する膨大なデータを、知りたい項目ごとに集計、閲覧できるマーケティングツールだ。
トレンドサーチの対象となる製品は、「パソコン」「家電」「カメラ」「車」「バイク」「ゲーム」「携帯電話・PHS」の7カテゴリ、約20万点。一般に流通しているほぼすべての製品に関するデータを閲覧できると言ってもよいだろう。
以下、データの具体的な見方について、同社 インターネットマーケティング部長 大堂氏に寸評を頂きながら、実際にトレンドサーチ(Enterprise版)を操作してみよう。
データの推移からトレンドを読む
最初にカテゴリを選択すると「製品別」「メーカー別」の選択ページに移動する。
調べたい対象にチェックを入れ「選択アイテムを比較」をクリックすると詳細や推移のグラフが表示される。グラフは最大5つまで同時に表示できるので、複数にチェックを入れれば、自社製品とライバル製品の比較、業界シェアトップ5の推移などテーマを決めた集計が可能だ。まず、以下の設定でクロス集計を行ってみた。
【カテゴリ】カメラ>デジタル一眼レフカメラ
【対象】SONYとCANON
【集計データ】製品PVとショップPV
【期間】週別2年
「製品PV」はトレンドサーチの基本となるデータで、価格.comの製品詳細ページの閲覧数をあらわす。「ショップPV」は、価格比較ページの下層にある各ショップ情報ページの閲覧数だ。価格.com経由で製品を購入する時にはショップ情報ページを必ず通るため、ショップPVは購入数のバロメーターとして活用できる。
グラフを見ると、赤線のCANONがいくつか山がありながらも双方で高いPVをキープ、対して緑線のSONYが追い上げてきているように見える。大堂氏によれば、CANONはデジタル一眼カメラ購入検討時にまず候補に上げるユーザーが多い老舗、対してSONYはカメラ部門が急激に伸びてきた注目メーカーだという。
「SONYは今年5月初旬に急上昇して以来、製品PVが順調に伸びています。これはレフなしのデジタル一眼カメラをリリースして大ヒットしたことが要因です。ある時期ではCANONを上回る製品PVですが、ショップPVが逆転したことはまだありません。購入の候補に上がることは増えたが、実際に買われる数では差は縮まってきているものの、依然CANONが強い、という傾向がわかります」
このほかトレンドサーチでは、メーカー別の「ショップ訪問率」「PVシェア率」、製品型番別の「最安価格」「平均価格」「売れ筋ランキング」「取り扱い店舗数」など、さまざまなデータを集計することができる。