Google AdWordsの現状、そして今後の展望は?
「Googleのすごさ」と言われたら、検索の精度や独特の企業文化、巨大なシステムインフラなど、答える人によってさまざまな要素が挙がるだろう。だが、マーケッターにとって外せないのはGoogle AdWordsではないだろうか。
検索連動型広告が普及する以前、Web広告の主軸だったバナー広告のモデルは掲載課金型やインプレッション課金型。クリック課金という広告主のゴールにより近いところで対価が発生する仕組みを浸透させ、Web広告を計算の立つキャンペーン手段へと成長させたAdWordsの功績は極めて大きいと言えるだろう。
Web広告を牽引してきたAdWordsの現状、そして今後の展望はどうなのか。グーグル株式会社 執行役員 第二広告営業本部長の王子田克樹氏に話を聞いた。
大企業と個人商店に同等の機会を ~ AdWordsのコンセプト
昨年、サービス開始から10周年を迎えたAdWords。リリース当初、わずか広告主数350人でスタートした同サービスだが、現在では、(eMarketerが3月に算出したレポートによると)米国で約7割の市場シェアを占めるなど、確固たる地位を築いている。
“クレジットカードによるオンライン決済、キーワードによるターゲット設定、掲載結果のフィードバックなどを利用できるセルフサービスの広告プログラム”として2000年に公開されたAdWordsだが、2007年には掲載サイトを指定できる「プレースメント・ターゲット」、2010年には「リマーケティング機能」を追加するなど、今や純粋に“検索連動型”の広告とは呼べないまでにサービスが拡大している。しかし、基本的なコンセプトはサービスイン当初から変わっていないと王子田氏は語る。
「AdWordsは日々進化している広告ソリューションですが、根本は大きく変わっていません。平等なインターネットという場において、大企業から個人商店に至るまで、同等の機会を提供するというコンセプトを守り続けています。
そして、マーケティングの費用と効果が測りやすい形で提供するということ。小さく始めて、効果検証して一歩一歩確かめ、工夫しながらやっていける。効果が見合えばどこまでも大きくでき、思ったような効果が出なければ撤退することもできます。“大通りに看板を掲載する”といった広告とは違い、最初に大きなお金を使わずに始めることができるので、大企業にとっても中小企業にとっても相性の良いツールではないかと考えています」(王子田氏)
AdWordsの特徴についてもう1点補足するなら、管理システムにも触れておくべきだろう。新規アカウントの作成から、広告クリエイティブの入稿、入札単価の調整、効果の計測、広告費用の決済までをオンライン上で完結できることから、人手を介する必要が無い。Web担当者やマーケティング担当者、あるいは広告代理店の間で自然と利用が広まっていったのも、AdWordsの優れた点だろう。