どうしてFacebookがこれほどまでに注目されるのか?
ここまでFacebookの普及によって企業のマーケティング活動がどのように変わるかを見てきた。映画やマスメディアの影響があるとはいえ、なぜFacebookが注目を集めているのだろうか。3つのポイントを石井氏は挙げた。
ポイント1:3つメディアの全ての価値を持つから

3つのメディアとは、「ペイドメディア」「アーンドメディア」「オウンドメディア」を指し、それぞれ図のようなGood PointとBad Pointを持っている。その良いところをすべて合わせ持ったのがFacebookというわけだ。多くのユーザーが集まるメディアでありながら無料でページを持つことができ、ユーザー主導のクチコミサイトと違って企業が管理人としてコントロールすることも可能だ。
さらに、自社サイトと同じようにカスタマイズしながら自社メッセージを展開できるだけでなく、ユーザーのソーシャルグラフを使って、潜在客を引き込むことができるのも魅力だろう。
ポイント2:ほかのソーシャルメディアと比べ、マーケティング的価値が高いから
Facebookのポリシーによって、実名性やリアルな友人の存在が背景にあるため、他のソーシャルメディアと比べて荒れにくいという特徴がある。これは同時に、ユーザーが投稿する情報の信憑性にもつながり、Facebook全体のメディア価値を高めていると言えるだろう。
友人に良い情報を教えてあげたいという、親切な日本人の特性にもマッチしている。そしてsocialbakersのデータによると、Facebookユーザーの56%は25歳から44歳が占める。これは人口分布で見ると20%ほど高い数値であり、消費意欲の高い年代のユーザーが集まっていることからも、企業にとってのマーケティング価値が高いのだ。さらにmixiやTwitterと比較しながらFacebookのユーザー属性を細かく見てみると、会社員の割合が最も多く、平均年収も高いことがわかっている。(IMJ調べ)


ポイント3:顧客ロイヤルティを高めるツールとして非常に有効
Facebookの「いいね!」や「シェア」といった、ユーザー自らが「推奨する」という行為自体、価値が高いということは想像に難くないだろう。このFacebookのシステムは、海外で多くの企業が導入しているNPS(Net Promoter Score)というカスタマーロイヤルティを測る指標とも非常に親和性が高く、ブランドにとって好意的でも否定的でもない、中立者のファン化に役立つとされる。

石井氏は「現在のペースだとFacebookの会員数は1カ月10万人ベースで増加中であり、まだまだ成長段階であることは間違いない。Facebookのメディア価値を鑑みればスモールスタートしておくことは必ず有利になるだろう。完全に普及するまでに、ベストプラクティスを蓄積しておきたい」と語り、効果に期待しすぎずに、今のうちにトライ&エラーでナレッジを蓄える重要性を説いた。